• 健康経営
  • 2021.02.22 (最終更新日:2022.03.26)

2021年も執行されていく働き方改革と健康経営

目次

働き方改革はコロナ禍でも進んでいく

働き方改革 各企業が新型コロナウイルス対策で会社としての在り方が問われている中でも、働き方改革はスケジュール通りに施行されて行っています。そもそも働き方改革は、2018年6月29日に国会で成立されたものです。その時のテーマは大きく分けて8つ。

・残業時間の上限規制
・有給休暇の取得を義務化
・フレックスタイム制の見直し
・インターバル性の普及促進
・高度プロフェッショナル制度の新設
・同一労働、同一賃金の実現
・中小企業での残業60時間超の割り増し賃金率引き上げ
・産業医の権限強化

これによって、幅広い形で多くの人が同一条件で働けるようになり、さらに仕事をするときと休憩するときのオンオフがしっかりでき、健康面での不安もないようにするということを実現化することができると、国会が考えた案です。

これは2019年4月から順次施行されていっています。ただ大企業と中小企業では若干スケジュールにも差があり、全部が一斉にと言うわけではありません。

そして、2021年4月からも施行されるものがあります。

中小企業における同一労働・同一賃金

同一労働・同一賃金 2021年4月から施行されるのは、大企業では2020年4月から施行されていた、正社員と非正規社員間の不合理な待遇差が禁止というものです。これは、同一企業内において、正社員と非正規社員(パートタイム労働者、有期雇用労働者、派遣労働者)間で、基本給、賞与などの個々の待遇ごとに不合理な差がこれまではありましたが、それをなくすという法律。

正社員と非正規雇用社員の差をなくすことによって、国は企業が非正規雇用社員を正社員に引き上げるのではないかという狙いがあります。非正規雇用社員は、企業にとって都合のいい存在であり、使い捨て出来る人材という見方をしているため、この制度ができた時には大手企業をはじめ多くの企業が非正規雇用社員を採用し、正社員の数を減らして資金繰りをしていたという背景があります。

また同一労働同一賃金にすることで、働き手のニーズにも応えられるようになるのではないかと言う面もあります。働き手は全員が決まった時間帯で働きたいわけではなく、ライフスタイルによって、働きたい時間、曜日などが異なります。例えば介護をする間はパートタイム労働者になり、介護が終わった後は正社員に戻るなど、好きな時に切り替えられるようにすることで、働き手のモチベーションも上がるというのも狙いの一つです。

また同一労働同一賃金は国の法律なので、非正規雇用の処遇改善に向けての支援も国が行っています。これからこの取り組みを行う中小企業は厚生労働省のHPにある「事業主への支援」を確認するのがいいでしょう。

時間外労働のうち月60時間を超える場合の賃金

残業 2010年に行われた労働基準法改正で時間外労働のうち月に60時間を超えると、そこからは割増率が50パーセント(それまでは25パーセント)になりました。ですがこれは、大企業のみ当てはまるとされていたため、中小企業では執行はされていませんでした。

ですが、働き方改革により、2023年からはついに中小企業でもこの案が執行されることになります。現在、大企業でも中小企業でも、従業員に残業をさせる場合には36協定を結ぶなど、手間がかかる状態になっているため、昔に比べると残業をさせる企業は減っていますが、それでもまだ、月に60時間以上の残業を強いている企業もあります。

例えばこれまでは25パーセントアップでよかったため、時給換算にして2000円だった場合は、これまでは2500円でよかったところを、3000円にして支払うことが義務づけられるということです。

そういった支払いを避けるために、企業がしなければいけない事は、労働時間の適正把握、業務の効率化、勤怠システムの整備、代替え休暇の検討などです。中小企業はあと2年で、この整備を行わなければいけません。

働き方改革が目指すもの

育児 働き方改革で決まった内容は、大企業ではすでに2018年に決まったことは施行されていますが、中小企業や自動車運転者、建設事業、医師など別枠にくくられている業種については、まだこれから施行されていくものがあります。改法されたものが全労働者に当てはまるようになるのは2024年です。その先は、まだ何も決まっていません。

働き方改革は、国の法律として決められていくもののため、その企業がどういった経営方針を取っているのかは関係ないものです。そのため、企業はこれまでの経営方針のままだと、うまく回らないことも出てくるでしょう。国の働き方改革を受けて、各企業も企業独自の働き方改革を行い経営方針を見直す時期に入っていると言えます。

ではどんな経営方針にしていくといいのかというと、ここでやはり注目されるのが健康経営です。働き方改革の目的の一つが、企業に健康経営を考えてもらうことでもあるため、ここに繋がるのは必然と言えるでしょう。

日本の企業の働き方は、戦後の状態から積み上げてきたものです。時間はどれだけかかってもいいので、いいものを作り、世に出していくという方針が、大企業、中小企業問わずありました。そのために起きたことは、過労死、出産率の低下です。また戦後とは違い、日本は物に溢れているのが日常となったので、そこまで大量のものを求められている時代でもありません。さらにこれまでのノウハウがあるため、本来なら時間をかけずにいい製品を生み出せるはずという面もあります。

これまでは、企業が生み出すものが資産として考えられてきましたが、今は企業で働いている人が資産という考えに変わってきています。そしてその考え方が、健康経営なのです。

アフターコロナで進む働き方改革

リモートワーク 2020年の新型コロナウイルスによって、働き方改革もテレワークへの舵取りが大きく傾きました。緊急事態宣言時は、従業員の出社を7割抑えるようにと伝えられ、多くの企業がテレワークに向けて努力し始めましたが、緊急事態宣言が解かれた後、だんだんと普通の出社型の勤務に戻り、二回目の緊急事態宣言では一回目の緊急事態宣言の時のような対策をしない企業も増えています。

ただ、テレワークは、緊急事態宣言だからではなく、新型コロナウイルスがあるからでもなく、今後日本の仕事の仕方として国が推奨している形です。これも働き方改革の1つ。

厚生労働省は「テレワーク普及促進関連事業」というHPを作り、どうやってテレワーク化すればいいのかの手順や、中小企業に向けた助成金の案内を載せています。そのほかにも、れてワークに関するセミナーやイベント情報、企業の導入事例紹介などもあるので、導入の仕方がわからない企業にはお勧めのページです。さらに今更聞けないような初心者に向けた「テレワーク情報サイト」というものも総務省・厚生労働省・経済産業省・国土交通省など省庁およびテレワーク協会が作ったサイトがありますので、そちらもチェックしてみてください。

また「テレワーク推進企業等厚生労働大臣表彰(輝くテレワーク賞)」というのがあるのをご存じでしょうか?
2020年に受賞した企業は、

■総務省 テレワーク先駆者百選 総務大臣賞 表彰式
 総務大臣賞
 ・江崎グリコ株式会社
 ・株式会社キャスター
 ・チューリッヒ保険会社
 ・富士通株式会社
 ・八尾トーヨー住器株式会社

■厚生労働省 テレワーク推進企業等厚生労働大臣表彰(輝くテレワーク賞) 表彰式
 優秀賞   ・住友商事株式会社
 特別奨励賞 ・株式会社お金の家庭教師
       ・シックス・アパート株式会社
       ・ベストプランナー合同会社
       ・三菱商事太陽株式会社

となっています。リモートワークは今後、働き方改革の要となってくと予想されているので、今のうちに検討をしていくのがいいでしょう。

働き方改革で変更された内容を全部取り入れられているかの確認

働き方改革 内容 働き方改革で決められていることは、大きく項目を分けると10個あります。そのすべてが網羅されているかどうかの確認をしておきましょう。日本商工会議所では、中小企業のための働き方改革10のチェックシートがあります。それぞれの項目で、具体的に何をしなくてはいけないのかも、端的にわかりやすく書いています。

働き方改革は法律です。そのため、一つでも漏れがあるとペナルティを受けることになるので、きちんと把握をしておく必要があります。できていると思っていても、世の中の慌ただしい空気に飲まれて見逃している点があるかもしれません。

1、時間外労働や休日労働が発生しているが、労使協定は結んでいない
2、時間外労働が、月45時間・年間360時間を超える従業員がいる
3、従業員の出退勤や時間外労働の状況をまとめた書類やデータが整備されていない
4、管理職については出退勤の時間を管理していない
5、年次有給休暇の取得が年間5日に満たない従業員がいる
6、パートやアルバイトには年次有給休暇を付与していない
7、従業員の年次有給休暇の取得状況をまとめた書類やデータが整備されていない
8、正社員と同じ業務に従事している非正規労働者(パート・アルバイト等)がいる
9、正社員には支給しているが、非正規社員には支給していない手当てがある
10、非正規社員には賞与・退職金を支給していない

これらの10項目を、再度確認してみてください。

2018年に作られた働き方改革の指針は、現在ここまでのものしか発表されていませんが、働き方改革チームが省庁内に発足し、随時新しい内容を考案しています。今後はさらに、アフターコロナに絡めた法案も出てくるでしょう。ですが、健康経営を行っている企業であれば、働き方改革で言われる内容はすでにクリアしていることがほとんどのため、慌てることなくその企業のペースで改革を行っていけるという利点があります。
これからのことを考え、そろそろ健康経営に踏み切ってみてはいかがでしょうか。

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