• 健康経営
  • 2021.03.15 (最終更新日:2022.03.26)

働き方改革にのっとって企業をホワイト化していく

目次

働き方改革は日本の未来を考えて作られている

日本 企業 働き方改革は企業にとっても、働き手にとってもいいことではない、という意見が、発表された当時は多く出ていました。ですが、働き方改革をいざ遂行してみると、企業は大きく二つのグループに分かれました。一つは、働き方改革を行う前と同じ、やはり現場のことを理解していない厄介な法案と認識した企業。もう一つは、働き方改革を行うことで、今まで見えていなかった視点が見えるようになり、これを機にホワイト企業を目指すようになった企業。

この差は、どこから生まれてきたのでしょうか?
そこには、これまで通りの働き方では気づけなかった戦力と柔軟性と人のパフォーマンスが関係しています。

働き方改革は、決して机上の空論ではなく、これからの日本には必要になってくることであり、企業の救済案になるということを理解する必要があると言えます。

国が働き方改革で示したものとは

給料 まず、働き方改革で国が何を示したのかを改めておさらいをしましょう。

・時間外労働の抑制
・労働時間の客観的な把握
・月60時間以上の時間外労働に対する割増賃金率の引き上げ
・勤務時間のインターバルを導入
・年5日以上の有給休暇取得義務
・同一労働・同一賃金
・フレックスタイム制の適用期間を延ばす(単月のみではなく2か月・3か月単位に変更)
・高度プロフェッショナル制度の導入
・産業医・産業保健機能の強化
・労働者に対する待遇に関する説明義務(強化)
・行政による事業主への助言・指導等や裁判外紛争手続の規定の整備

以上の11項目です。
これらを大きく分けると、
・企業が労働時間を客観的に見たうえでの長時間労働の抑制
・有給休暇取得を増やす

働きすぎている人を減らす

・同一労働同一賃金
・フレックス制

多様な働き方を広げる

・産業医・産業保健機能の強化

働き手の健康状態を把握・改善

この他にもここにありますが、まずはこの3つの事柄について理解をする必要があります。

働き方改革で何が改善されていくのか~働きすぎている人を減らす

過労 では実際に、働き方改革で何が改善されていくのかということを、3つの項目に沿って説明をしていきます。

1つ目「働きすぎている人を減らす」ということはどういうことでしょうか?
仕事が膨大にあるのに、人が足りないから働いているという場合もあれば、生産性が低いために労働の割合に比べて働く時間が長くなっているという場合もあるでしょう。こんな状態で、残業を減らせば、仕事はさらに回し切れなくなってしまいます。
かといって、新しい人材を採るには時間もお金のコストもかかるため現実的ではありません。そうなると、残業時間がつかない役職のある人が一人で仕事をしたり、残業を付けずにサービス残業、持ち帰り業務として働いてもらうしかない……と考えているうちは、働き方改革の意味を全く理解できていないということです。

人間というのは、いつまでも同じ生産性で働き続けることはできない生き物です。睡眠時間や休み時間が減れば、それだけ生産性は減っていきます。また睡眠不足、休日不足が続いていると、疲労がどんどんと蓄積されていき、体をむしばんでいきます。大げさに言えば、初月は100パーセントの力で働けたのに、翌月は90パーセントの力になり、翌々月は70パーセントの力になるというような形です。
ただ人は、学習能力があるため、効率よく仕事をすることを覚えていき、100パーセントの力がなくても90パーセントの力で100パーセントの力の時と同じだけの仕事ができたりするのです。それが、働き手のマンパワーの低下を見えにくくしている点でもあります。

ですので、働きすぎている人を減らすことで、一時的に業務は圧迫することになるかもしれませんが、ある一定の期間が過ぎると従業員の生産性が向上し、短い時間で依然と同じ分量の仕事をこなせるようになるということです。さらに、十分に休暇が取れていると、頭の回転も速くなるため、新しい企画が生まれたり、職場の人間関係も自然と良くなっていくということも。働きすぎている人を減らすということは、企業にとっても働き手にとってもいいことしか起きないというのが、本当のところなのです。

働き方改革で何が改善されていくのか~多様な働き方を広げる

多様性 2つ目「多様な働き方を広げる」ということはどういうことでしょうか?
これは少子化により、人手不足になっている企業が今後さらに増えてくるということを前提に考えられた施策です。高度成長期時代は、成人~還暦までの男性が働ければ、それだけで仕事は回っていくと考えられていましたが、これからの時代ではそうもいってられません。

男女雇用機会均等法によって、女性も働ける環境をと言い出したのは、確かに働く女性を応援しようという狙いもありましたが、男性社会だけでは回らなくなっていくことが見えていたための施策でもあります。ですがベースが男性社会だったため、女性が働こうと思っていても正社員で働き続けることが難しい状態でした。男性は結婚をしても、子どもが生まれても、生活に何も変わりはありません。ですが女性は違います。

最近は結婚をしただけでは女性もほとんど変わらない生活を送れるようにはなってきましたが、妊娠、出産の面においては、男性と同じというわけにはいきません。育休を取ることのできる企業も少しづつ増えては来ているものの、それでも第一線で働いていた女性が、育休で1年半休みを取り、元居た場所で同じように働けるかというとどうでしょうか?さらに保育園などに子どもを預けることができたとしても、子どもが熱を出せば迎えに行かなければいけませんし、子どもがいない時と全く同じ生活というわけにはいきません。

また最近は、結婚・出産・育児だけではなく、介護問題も抱えています。女性だけではなく一部の男性も、親の介護によりフルで働けない人もいます。

そういった人たちの為にフレックス制を柔軟にしたり、同一労働同一賃金にすることで、子どもが大きくなるまではフレックスで働いたり、一時的にパートやアルバイトとして働けるようにすれば、仕事を続けられるというわけです。

ただし、第一線で働いていたエリートコースを進んでいた人が、そのままその道を走り続けられるのかというと、現在はまだそこまで整った環境づくりをしていない企業も多いため、まだまだ問題はあります。

また年金の支給が65歳からになり、60歳から65歳までの空白の期間に働きたいという健康的なシニア世代もいます。フル勤務は難しくても、知識や技術があるので会社としても残ってほしいと思った時に、同一労働同一賃金によって賃金が保たれるのであれば働きたいというシニア世代もいるでしょう。

さらに「多様な働き方を広げる」の中には、人種の多様性も含まれています。日本はもう鎖国をしていた時代ではないため、日本にある企業の中に様々な国の人たちが日本人と同じ条件で働けるようにするということも忘れてはいけません。

働き方改革で何が改善されていくのか~働き手の健康状態を把握・改善

健康 3つ目が「働き手の健康状態を把握・改善」です。
この項目についてはこれまで企業では、「健康診断」を行うだけで、他のことに関しては一切してこなかった部分です。企業によっては、健康診断の受診率が低いところもあります。

従業員の健康は従業員自身が考えるものというのが、長い間日本での経営者の考えでした。その風向きが変わってきたのが「健康経営」とも言えるでしょう。健康経営は、まさしく従業員の健康を一番に考えた経営の方法です。

昭和時代の企業では分煙という考え方があまりなく、事務所内で普通にタバコを吸っている人とタバコを吸っていない人が一緒に過ごしていました。それが、副流煙による健康被害の訴えが広まり、会社内でも分煙化を言われるように。ですがこれは、タバコを吸っていない人の健康を守るためのものであって、タバコを吸っている人の健康を考えたものではありません。「働き手の健康状態を把握・改善」や「健康経営」の中では、企業がタバコを吸っている従業員を把握し、禁煙ができるように指導するというところまでが含まれています。

検診に行って、医者に問診の際に「タバコは辞めるように」と言われるだけではなく、会社自体が主体となってタバコを吸っている人が禁煙できるように応援する仕組みを作っていくということが問われています。

健康被害はタバコだけではありません。偏った食生活や、運動不足、ストレスの多い職場。そう言ったことも放置しておけば健康被害に陥るものです。これらは個人の問題ではなく、企業が自分事として問題視して改善していく流れになっています。

ですが、これによって、何が変わって来るのかというと、企業が従業員の健康について考えるようになるため、従業員も普段から「健康」について考えるようになり、体質改善が行えるようになります。そうすると、これまで100パーセントの力で働けていたと思っていたのに、本当はまだ70パーセント程度だったとわかるほどの能力を発揮して働けるようになるかもしれません。

健康でいるということは、それだけ働く力も増えるということです。

働き方改革から経営方針を見直しホワイト企業に変えていく

働き方改革は決して無茶なことを言っているものではありません。これらを行うことで、何ができるようになり、何が起こるのかということを想像力を持って考えてみると、新しい会社に生まれ変わった企業の在り方が見えてくるかもしれません。

これからの時代に生き残っていける企業であり続けるために、今一度働き方改革で示された道がどんなものなのかを考えてみませんか。

関連コラム

問い合わせ
各種取材やサービスに関することなど、
お気軽に問い合わせください。