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  • 2021.04.12 (最終更新日:2022.03.26)

健康経営優良法人2021に選定された企業数から見るホワイト企業の実態

目次

コロナ禍における健康経営をする企業とは

新型コロナウイルス 2021年3月4日に健康経営優良法人2021の認定企業が経済産業省から発表されました。ここで認定された企業というのは、世の中が変わり始めた2020年にどういった健康経営の取組をして成功させた企業ともいえます。

これまで健康経営優良法人に認定される企業数というのは、2017年度から毎年企業数が増えていました。ですが、健康経営優良法人2021はコロナ禍ということもあり、認定される企業数は減ったと思いますか?それとも、いつもと同じように増えたと思いますか?

今回は健康経営優良法人2019、健康経営優良法人2020、健康経営優良法人2021の認定企業の数を見ながら、これからの日本の経営をどのように進めていくといいのかを見ていきましょう。

健康経営優良法人~大規模法人の推移

大企業 健康経営優良法人は、大規模法人と中小規模法人2つに分かれています。大規模法人には健康経営優良法人とホワイト500と健康経営銘柄の3つの顕彰制度があり、経済産業省が認定をしているのは健康経営優良法人(大規模法人)とホワイト500のみです。健康経営銘柄は経済産業省が東京証券取引所と共同で決めています。

ではまず、健康経営優良法人(大規模法人)+ホワイト500の数字の推移を見てみましょう。
2019年度:821
2020年度:1481
2021年度:1801

というように、2021年度がより多くの企業が認定されるようになりました。ホワイト500はこのうちの上位500社です。

コロナ禍においても健康経営を続ける企業が多かったということがこの数字からわかります。

健康経営優良法人~中小規模法人の推移

中小企業 次に中小規模法人の企業数も見てみましょう。中小規模法人はこれまで1種類しかありませんでしたが、2021年度から新しく「ブライト500」ができました。これは、大規模法人の中の「ホワイト500」と同じ立ち位置です。通常の認定の審査よりも厳しくなっており、選択形式の個所が必須となっていたり、選択する数が増えていたりしています。
中小規模法人は、このブライト500に向けて認定をした企業がどれだけいたのかというところも注目を浴びていました。

実際の数字は下記です。
2019年度:2503
2020年度:4723
2021年度:7398+536(ブライト500)

となっており、大規模法人よりもさらに伸び率が高くなっています。全国のトップ5を見てみても、その数の変化は明らかです。

2019年度(認定企業数)
1位:愛知県287
2位:大阪府281
3位:東京都193
4位:兵庫県136
5位:静岡県104

2020年度(認定企業数)
1位:大阪府601
2位:愛知県577
3位:東京都351
4位:兵庫県283
5位:静岡県197

2021年度(認定企業数)
1位:大阪府1095
2位:愛知県927
3位:東京都498
4位:兵庫県437
5位:静岡県300

となっており、全国で見ると健康経営優良法人2021の中小規模法人の全体の約4割がトップ5の企業数となっています。

また企業数が多い地域だからトップ5に入っているわけではない、ということは都道府県を見るだけでもわかります。
大阪府は府単体だけでも、2021年度は初めて4桁の企業数に到達しました。大阪ではそれだけ健康経営に対しての考え方が経営者に普及しているということでしょう。

さらに今回から新しく設置された「ブライト500」が500企業以上あるというのも注目すべき点です。それだけの企業が健康経営優良法人の厳しい認定項目を、コロナ禍でもクリアしているということです。

大規模法人のホワイト500も初めは500社以上ありましたが、数年たってから500社限定に変更をしました。おそらくブライト500もいずれはそうなる可能性もあります。ただ、大規模法人の認定の数と中小規模法人の認定の数にかなりの差があるため、中小規模法人のブライト500に認定されるというのは今後、狭き門となっていくかもしれません。

コロナ禍でも健康経営を行う企業が増えたわけ

テレワーク ウィズコロナ時代に入り、企業はこれまでの経営方法では立ち行かなくなってきている業界も増えました。ですが、その一方で、黒字を伸ばしている業界や会社もあれば、例年と変わらず横ばいの業界や企業もあり、様々です。ただ、売り上げに差はついたものの、どの企業も同じように直面したのが、リモートでの仕事です。

元々国は、リモートでの仕事を進めるように言っていましたが、2020年はそれが半ば強制的にリモートを行う企業が増えました。ただ、環境が整っていないうちにリモート業務が始まったということもあり、コミュニケーション不足で従業員の精神的健康に被害が出たり、出勤をしたいために運動不足になったり、と様々な問題が浮き彫りになったのも1つの事象です。

そんな中で、相対的に「健康」ということが、何よりも身近に感じられた年であったともいえます。コロナ禍だからこそ、従業員の健康を考えた健康経営を行うというのがフューチャーされたのではないでしょうか。

これまで健康経営を行ってきた企業でも、コロナ禍における健康経営は、これまでの健康経営での施策だけでは立ち行かなくなってしまった企業もあるでしょう。ですが、健康経営がすでに浸透している企業では、従業員の方から提案があったり、個人個人で健康でいるためにはどうしたらいいのかということを考えて動くため、結果として、世の中が変わったとしても仕事に対するモチベーションを下げずに仕事ができたということも考えられます。

こういった企業を見てきた、健康経営を行っていない企業が、これからのことを考え健康経営を始めたという可能性もありますが、「今年から健康経営を始めます」といっていきなりできるものでもないので、健康経営優良法人2021の認定を取った企業は2019年ぐらいから環境を整えてきた企業が大半でしょう。

次年度の健康経営優良法人2022が、さらに認定企業が増えるようであれば、それはコロナ禍だからこそ健康経営をする企業が増えたと言えるようになるかもしれません。

とはいえ、健康経営はこれからも注目されていくことは間違いないでしょう。

ホワイト企業だけが残っていく時代

ホワイト企業 健康経営をしている企業はホワイト企業と言えますが、ホワイト企業だからといって必ずしも健康経営をしているとは限りません。ホワイト企業に含まれるのは、過重労働がなかったり、有休がとりやすい職場であったり、横暴な社長や上司のいない風通しのいい職場であったりなど、いくつかの項目が達成されていればホワイト企業と呼ばれるためです。
全方向において従業員にとって仕事がしやすい環境づくりをしている企業もありますが、全部が全部そうではないということです。ただ、労働法に違反している企業はホワイト企業とは言えない事だけは確かです(ホワイト企業認定項目に入っているため)。

この先も、まだしばらくはコロナ禍での生活が続きます。そんな中で、変わらず通勤を強要する企業やサービス残業をするように言ってくる企業に、転職者や新卒者が入ろうとするでしょうか?

働き手も、健康管理をするのは企業の務めであるという認識が強くなってきているので、そういった対策をしていない企業の業務内容がどれほど魅力的だったとしても、そこで働き続けようという人は徐々に減っていきます。現在働いている従業員は、自分の健康についても考えてくれる企業があると知れば、転職をしたいと思うでしょうし、新卒者は本人や親御さんたちが、職場環境のいいところを選んだ方がいいと思うはずです。

健康経営やホワイト企業が、これだけ広がってくると、相対的に何もしていない企業は、それだけで魅力のない職場という扱いになってしまうというわけです。現在、人手不足な企業は、さらに人手不足になっていきますし、人手が足りている企業もこのまま何もしていなければ、新しい人が入らず従業員が辞めていくだけの会社になる可能性だってあるということです。

コロナ禍において、ほとんどの人の関心が「健康」に向いています。今だからこそ、企業も健康経営を始める時期に来ているのかもしれません。

健康経営をしている企業がさらに健康経営をする企業を作っていく

企業 最後に健康経営をしている企業が増えるということは、どういう世の中になっていくと思いますか?

健康経営を行っている企業は、自社が健康経営に取り組んでいることを自社のHPで発表したり、国や市、個人団体などから取材を受けて発表したり、イベントに参加をして自ら発表したりということをしています。

健康経営優良法人の顕彰制度が始まったばかりの頃は、主に国指導で健康経営を広めましょうということを伝えてきましたが、健康経営を実際に行っている企業が増えてくると、国から離れて各企業で広報活動を始めていきます。これは健康経営を行っている企業が増えれば増えるほど、そういった活動も増えていくということです。

これまでは健康経営を行った方がいいというのを経営者に向けて伝えてきましたが、広報活動が広がってくると、「健康経営」という言葉を経営者以外の働き手の人たちの耳にも届くようになってきます。そうなると、従業員の健康を考えた企業というのがあり、その企業が求人を行っていると聞くと、従業員の心が揺れ動くのは仕方のないことだと思いませんか?

働き手からしても、従業員の健康を考える企業と、従業員の健康を考えない企業があるのであれば、従業員の健康を考える企業で働きたいと思うのは当然のことだからです。

また、自分が働いている企業が健康経営をしているとわかれば、健康経営をしていない企業で働いている友だちに声をかけて、「うちに来ない?」と勝手に求人活動をするということも考えられます。

まだ健康経営を始めていないのであれば、今からでも準備を始めたほうがいいのではないでしょうか?

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