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  • 2021.04.05 (最終更新日:2022.03.26)

各県で行われている健康経営の顕彰制度を利用する

目次

健康経営優良法人の認定を取ることだけが健康経営ではない

健康経営優良法人の認定を取るのは、これまで健康経営を行ってきていなかった企業にとってはハードルの高いことです。健康経営を継続的に行っていくのであれば、段階を踏んだ取り組みをした方が、様子を見ながら進めていくことができるのでお勧めでもあります。

ではどうしたらいいのかというと、各都道府県や市町村などで行っている健康経営の顕彰制度にも目を向けてみてはどうでしょうか?都道府県や市町村単位で行っていないところもありますが、こういった動きは年々増えてきているため、去年は行っていなかったとしても、今年から始めたりすることもあるので、まずは会社のある都道府県や市町村を調べてみてください。

今回は各都道府県や市町村の一部の顕彰制度をご紹介します。

横浜健康経営認証制度とは

横浜健康経営認証 神奈川県では横浜に横浜健康経営認証制度があります。横浜市内に本社・本店、支社・支店、営業所等があることが条件となっています。また応募をするにあたり、他にも条件があります。
・法人市民税及び事業所税等を滞納していないこと
・過去5年間に、重大な事案で労働安全衛生法などの従業員の健康管理に関連する法令等に違反し、処分等を受けたことがないこと
・暴力団等の反社会勢力に所属せず、これらのものと関係を有していないこと
・代表者の他に従業員が1名以上いること

上記に当てはまる企業が、横浜市に応募をすると外部委員によって構成された横浜健康経営認証委員会によって審査を受けることができます。

横浜健康経営の認証には3つの区分があり、「クラスA」「クラスAA」「クラスAAA」となっており、クラスAが基本のものとなっています。認証期間は2年ですが、1年目の時に「クラスA」もしくは「クラスAA」だった企業はクラスアップを目指して再応募することも可能です。認証期間が過ぎても、再度応募することができるので、継続的に横浜健康経営の認証を受けることができます。

認定基準はクラスごとに明確に書かれており、
クラスA:
・健康経営宣言ができているかどうか
・経営トップの意思の具体化ができているかどうか

クラスAA:
・健康経営推進体制ができているかどうか
・健康経営の把握と取り組みができているかどうか

クラスAAA:
・健康経営の取組結果をもとにPDCAを回すことができているか

クラスによって提出する応募用紙が異なるので、企業側がどこのクラスを狙うのかを決めてから提出する必要があります。

認証のメリットは様々ありますが、「クラスA」「クラスAA」の場合だけ、健康経営の取組のためのステップアップや継続を支援するために、保健師や栄養士による訪問、相談を1事業所あたり最大2回まで行っていますので、健康経営をより深めたい企業はぜひ相談してみてください。

埼玉県健康経営認定制度とは

埼玉県健康経営認定 埼玉県で行われている健康経営の顕彰制度は、埼玉県内に本社・本店、支社・支店、営業所等があることが条件となっています。また、健康経営を行ってから、健康経営の応募をして認定するという流れではありません。
埼玉県の健康経営の顕彰制度は、まず健康宣言(登録)をします。登録をすると、県から「健康宣言実践証」が公布され、ここから1年間健康経営を行っていきます。この実践証を得た時点でも県のホームページで社名を出してもらえるので、対外的なアピールをすることができます。
実践証を貰ってから、1年たつと、認定申請書、取り組み状況説明書、実践概要報告書の3点を提出し、県に認められれば埼玉県健康経営認定となります。

2021年2月28日時点で、埼玉県健康宣言をしている企業は340社(支店等を含めると1798事業所)あり、認定されている企業は152社(支店等を含めると1408事業所)あります。

この他、埼玉県内では、さいたま市、飯能市が市独自の健康経営の認証制度を作っているので、企業の所在地がその2つの市のどちらかにあるなら、そちらから行ってみるのもいいかもしれません。

千葉市健康づくり推進事業所とは

千葉市健康づくり 千葉県で行われている健康経営の顕彰制度は、千葉市が独自に作っている「千葉市健康づくり推進事業所」です。健康経営という言葉は使っていませんが、従業員の健康づくりに貢献している事業所を認証しています。
こちらの認証期間は3年です。続けて認証を受けたい場合は、更新手続きを行って認証を続けることができます。

申請をする時に対象となる取り組みは、申請前の1年間に行った取り組みです。1年より前の取組は、取り組みの点数の対象とならないので気を付けましょう。

また千葉市のホームページには、どんな取り組みをしたらいいのか「対象となる取り組み内容」が書かれています。

大きく分けると、
・健康づくり計画の作成
・健康診断の実施
・運動の実施(ラジオ体操等)
・受動喫煙対策
・食育の推進
・メンタルヘルス対策
・社会貢献
・その他
の8項目があり、細かく見ていくと21の項目で成り立っています。これから健康経営を始めようとしている企業にも、まずは何をしたらいいのかがわかりやすく書かれているので、取り掛かりやすいかもしれません。

愛知県健康経営推進企業とは

愛知県健康経営 愛知県でも健康経営の顕彰制度を行っています。ここでは、健康経営を行っていることを認定するというものではなく、自己申告で健康経営を行っている企業・団体に登録をしてもらう制度です。愛知県健康経営推進企業に登録すると、愛知県の愛知県健康経営推進企業のサイトにて、取り組み内容を紹介したり、年1回、優れた取り組みを行っている法人の表彰を行っています。

現在は県制度における優遇するものについては準備中となっていますが、今後ここに登録することで、顕彰制度としてメリットのあるものが出てくるかもしれません。

2021年3月現在、登録企業は228社あり、その登録企業がどういった取り組みをしているのかを検索することができます。「取り組み内容から探す」という項目では、登録している企業のうち何社がどの項目に取り組んでいるのかも数字としてみることができるのも面白い特徴です。

現在一番数字が大きいのが、「従業員の感染症予防」、次いで「受診勧奨の取組」「コミュニケーションの促進」となっています。時代を反映しているような取り組みですが、愛知県内に事業所があるのであれば、この3項目から取り組んでみてはどうでしょうか?

兵庫県「健康づくりチャレンジ企業」とは

兵庫県 兵庫県内に事業所の登録があれば参加することのできるのが「健康づくりチャレンジ企業」です。健康経営の認定というものではありませんが、健康経営を行うことを宣言し、実際に取り組んでいるかを毎年チェックしていくシステムです。

健康づくりチャレンジ企業に登録することで、健康づくりに関する情報や研修会の案内が来たり、登録企業を兵庫県のホームページで紹介したり、優れた取り組みをしている企業には表彰をしたりしています。

また兵庫県が他の県と違っているのが、健康づくりを推奨しているのが企業に勤めている従業員だけではなく、その家族も対象に入っているというところです。
例えば「特定検診やがん検診などの受診率向上に向けた取り組み」であれば、従業員が受けていればいいと考える経営者もいますが、兵庫県ではその項目の中に「家族への受診勧奨」「家族の受診確認の実施」「家族向け出張健診」というものもあり、企業が大切にしなければいけないものとして含んでいます。

また健康づくりチャレンジ企業に登録することで、県からの支援も10個の項目があります。
・メンタルヘルス改善に対する支援
・がん検診受診費補助金
・健康管理機器等の整備費補助金
・歯科健診受診費補助金
・研修会、検診等への専門スタッフの派遣
・健康づくり推進サポート企業による応援
・骨髄ドナー確保等活動支援金
・健康づくりの情報提供
・家族の認知症早期発見・受診促進事業
・三大疾病療養者の治療と仕事の両立支援事業

2020年12月末時点で、1839社の登録となっており、県をあげて健康経営に取り組んでいます。

健康経営を進めてホワイト企業に

健康経営を推進しているのは国だけではなく、今回ご紹介したように各都道府県や市町村もそれぞれで動き始めています。地域によって推進している内容に違いはありますが、企業が健康経営を始めやすいように行っていることには違いはありません。
※現在、顕彰制度を作っていない地域もありますが、徐々に増えてきています。

「健康」が何よりも大事だということを教えられた2020年を過ぎて、さらに多くの人が「健康」に関心を持っています。今であれば、経営者が健康経営に取り組み始めると、従業員も取組に賛同しやすくなっているはずです。

従業員の健康を経営者が管理するというのは、従業員のためだけではなく、企業のためにもなるということを忘れてはいけません。今よりも業績を伸ばしたいのなら、今よりも若手や有力な人材を手に入れたいのなら、今よりも新しい取り組みにもチャレンジしていきたいのなら、健康経営を始めるのが何よりの近道です。

健康経営を行い、ホワイト企業として世間に認知されるようになってくると、これまで苦労をしていた点が、投資をせずに改善していくということもあるかもしれません。健康経営の中には、それほどコストのかからないものもあります。
経済産業省の健康経営優良法人の認定基準を見たり、都道府県や市町村の健康経営の認定基準を見たりして、今の事業所なら何ならできるのかを検討してみてください。

健康経営を、まずはできるところから始めてみませんか?

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