• 健康経営
  • 2021.04.26 (最終更新日:2022.03.26)

健康経営銘柄に選定されることでホワイト企業として確立する

目次

現在は健康経営優良法人の大規模法人にしかない健康経営銘柄

健康経営銘柄 健康経営には様々な顕彰制度があります。都道府県で行っているもの、市町村で行っているもの、保険会社、金融関連会社などで行っているもの、そして国で行っているものなど。その中で一番難易度が高いとされているものが、健康経営銘柄です。これは経済産業省と東京証券取引所の2つの機関が選定しています。

また国が認定をしている健康経営優良法人は大規模法人と中小規模法人に分類されており、各分類上の中でも上位500までを、大規模法人では「ホワイト500」、中小規模法人では「ブライト500」としています。大規模法人であっても、中小規模法人であっても顕彰制度は同じにしているのですが、健康経営銘柄だけは違います。これは大規模法人の企業のみが選定されるものです。今後、中小規模法人にも同じような顕彰制度が出てくる可能性はあるかもしれませんが、2021年3月現在は、特にそういった発表はされていません。

さらに健康経営銘柄が難関だと言われているのは、1業種につき1企業しか選ばれないからです。つまり、業種の中で1番の評価を得ないといけないということです。

とはいえ、選定されると健康経営優良法人よりも、ホワイト500に選ばれるよりも狭き門のため、ホワイト企業としてのアピール力は強いといえるでしょう。そのため、健康経営優良法人大規模法人部門に入る企業は、さらに上の健康経営の顕彰制度を狙って取組の強化を図っているところもあります。

健康経営銘柄に選定されるための第一歩とは

経済産業省 健康経営銘柄に選定されるためのはじめの一歩は、毎年経済産業省が行っている「健康経営度調査」に回答することから始まります。この健康経営度調査は特に健康経営優良法人の認定をしてほしいとしている企業が答えるものではなく、経済産業省から送られてくるので任意で答えるようになっています。ただ、健康経営銘柄や健康経営優良法人、ホワイト500に認定されたい企業は必須のものです。

この「健康経営度調査」には何が書かれているかというと、大きな項目で言うと次の通りです。
・会社の属性
・経営理念(経営者の自覚)
・組織体制
・制度・施策実行①従業員の健康課題の把握と必要な対策の検討
・制度・施策実行②健康経営の実践にむけた基礎的な土台づくりとワークエンゲージメント
・制度・施策実行③従業員の心と体の健康づくりに向けた具体的な対策
・制度・施策実行④取り組みの質の確保
・評価・改善
・アンケート

2020年度のアンケートでは全部で86項目ありました。これらのことについて、前年度も回答をしている企業であれば、その一覧も渡されるため、どれだけ変化があったのかを自社で把握することができるので便利です。

また「健康経営度調査」に答えると、締め切り後に健康経営度調査<フィードバッグシート>が送られてきます。ここには、健康経営度調査に答えた企業全体での総合評価、自社の順位、昨年の評価、評価の内訳などが書かれています。また、同じ業界のトップの数値と、同じ業界の平均値も出してくれるため、今自社がどの程度健康経営ができているのかを客観的に把握できるので、持続的に健康経営を続けていくにあたって役に立ちます。

さらに健康経営優良法人の認定基準の各項目についても、どこが適合していて、どこが不適合なのかの結果シートも見ることができるので、このシートが戻ってきた時点で健康経営優良法人に認定される割合がどの程度かを予測することもできます。

ホワイト500に関しては、順位表で500位以内に入っていなかったとしても、申請法人に絞った順位で判定されるため500位を少しぐらい超えていたとしても選ばれる確率はあります。

健康経営銘柄に選ばれるまで

健康経営 選ばらる 健康経営銘柄に選ばれるためにはまず、健康経営度調査に答えて、上位20パーセントに入る必要があります。1業種1企業までしか健康経営銘柄には選定されませんが、業種内で1位になったとしても、全体の上位20パーセントに達しており、かつ必要項目をすべて満たしている企業でなければ選定されることはありません。まずは健康経営を行っている企業の上位20パーセントに入ることを目標にすることが必要です。ただし上位20パーセントに入っていたとしても重大な法令違反等を起こしている企業は除外されてしまいます。
また大規模法人でも上場企業に限られていますが、TOKYO PRO Market上場会社は対象外となっているので、どこで上場しているのかも確認しておく必要があります。

以上のことを満たしていれば、次は東京証券による財務指標スクリーニングを行ったうえで、どこの企業にするのかを選定していきます。ここでも、選定する際の条件が3つあります。
・ROE(自己資本利益率)の直近3年間平均が0%以上の企業を対象とし、ROEが高い企業には一定の加点を行う。
・前年度回答企業に対しても一定の加点を行う。
・社外への情報開示の状況についても評価を行う。
つまり必ずしも、健康経営をどこまで行っているかだけを選定基準にしているわけではなく、財政面や前年度の状況、社外への健康経営に関する開示状況がどうなっているのかということも重要だということです。

健康経営銘柄に選定されるということは、健康経営銘柄という価値を高めてくれる企業だと東京証券が認めた企業ということでもあります。そういったことを理解したうえで、健康経営を行っていく必要があります。

また、健康経営銘柄に選ばれた後でも、報告に虚偽があったなどのことが発覚した場合には取消しについてを経済産業省と東京証券が協議をしたうえで決めています。それだけ厳しく選定されているということを覚えておいてください。

実際に健康経営銘柄に選定された企業の声

株価 では実際に健康経営銘柄に選定されると、どういったことが起こるのでしょうか?
健康経営銘柄は投資家も注目している株です。そのため、選定されることで投資家の目に留まりやすくなることは当然といえるでしょう。また、健康経営の取組に関する露出も自然と増えていきます。健康経営をテーマにした講演会の依頼が増えたという企業もありました。

健康経営は投資家にアピールするだけのものではありません。一番の目的は、自社の従業員の健康をどうやって考えていくか、です。健康経営を始めたばかりだと、トップダウンになりがちですが、健康経営が企業内に浸透していくと、上層部が何かを考えなくても従業員自身が自分事として、自ら「健康」に対して取り組むようになっていきます。狭き門である「健康経営銘柄」になったということを自社内で発表するだけでも、従業員のモチベーションアップにつながり、自分自身で健康に対して取り組んだり、経営者が新しい健康についての活動を始めた時に、すぐについてきてくれたりなどの効果もあると出ています。

最後は健康経営銘柄に選定されることで、社内外に幅広くアプローチできるという点です。健康経営は今注目を浴びている経営ですが、健康経営銘柄はさらに注目をされているため、就活中の学生からの認知度が上がり、優秀な人材を採りやすくなったり、取引先や他の企業からの評価が上がったりということもあります。また、同じく健康経営銘柄を取得した他業種の企業との横のつながりができ、経営の更なる発展が望めるようになったという声もあるそうです。

選定されることが難しいものの、選定されれば、通常の健康経営優良法人に認定されるよりも、幅広いアプローチができるといえます。

健康経営銘柄に選定されてホワイト企業であることを伝える

ホワイト企業 健康経営銘柄は2021年度は48社が選定されました。健康経営優良法人大規模法人2021(とホワイト500)の認定企業は1801社です。それだけの企業が健康経営を行い、健康経営銘柄に選定されたのが48社のみ。これがどれだけ選定されるのが難しいのかが、この数字からもわかりますよね。

健康経営優良法人に認定されている企業数は、毎年度上昇しています。健康経営銘柄は分母の数がいくつになっても1業種1企業というのは変わらないため、この先はどんどんと健康経営銘柄に選定されるのが難しくなっていくということです。

ですが、だからこそ健康経営銘柄に選定されておきたいと思っている企業も多いでしょう。実際に一度でも健康経営銘柄に選定されれば、その効果がどのようなものなのかがわかります。健康経営銘柄に選定された企業は、自社の健康経営の方法を幅広く社外に伝えています。これから健康経営を始める企業にとっては、まだまだ先の目標かもしれませんが、上を目指すことで社内の健康経営の取組がしやすくなることもあります。

従業員の体と心を健康にするために環境を整えていく健康経営は、今後さらに様々な立場の人から注目されていきます。これまでは経営者や投資家が注目することが多かったかもしれませんが、従業員、就活者、就活者の親族からの注目が高まっているので、健康経営を行いホワイト企業をアピールできない企業には、従業員が誰も集まらなくなる未来も来るかもしれません。

今回ご紹介した健康経営銘柄は大規模法人のみしか選定されないものでしたが、健康経営優良法人2021からは、中小規模法人に新しい顕彰制度ブライト500ができ、実際に認定されている企業があります。通常の健康経営優良法人とは違う上位の企業です。中小規模の企業に就職をしようとしている就活者や就活者の親族も注目しています。

これからは健康経営をただ行うだけではなく、他の健康経営を行っている企業よりも抜きんでた施策をしている企業が選ばれる時代になっていくのではないでしょうか。

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