• 健康経営
  • 2021.05.04 (最終更新日:2022.03.26)

国内と海外で作られているヘルスケアツールを活用していく

目次

ヘルスケアツールがあると健康経営を始めやすいのはなぜなのか

ヘルスケアツール 健康経営が注目されるようになったものの、いまいち効果を得られない企業というのは、いまだに多くあります。それは健康経営がどういうもので、実際にどういうことをしていくといいのかが、わかっていないからという面もあるでしょう。さらにいえば、一から自社に遭った健康経営を本気で考えようとすると、時間もコストもかかってしまい、効果が出るまで踏ん張れないという場合もあるでしょう。

そこで注目されているのが、ヘルスケアツールです。ヘルスケアツールは安価で始めやすいというのが特徴。万人受けするようなシステム開発がされているので、どんな企業でも「とりあえず健康経営を」と思っている企業には魅力的な分野と言えます。

ヘルスケアツールには様々なタイプのものが出てきているので、社内でどんな健康問題を抱えている従業員が多いのかのアンケートを取って、それに即したヘルスケアツールを試し、効果が出なければ、また他の企業が作ったヘルスケアツールを使ってみるというのも一つの手です。

もちろん、初めは他社が出しているヘルスケアツールを使っているからと言って、永遠にそのツールを使う必要はありません。一定期間使い、健康経営がどのようなものかがわかってきたところで、自社開発を行えば、ヘルスケアツールで稼ぐ側に変わることだってできます。健康経営がどのようなものなのかを理解するまでの歩行器代わりとして、まずはヘルスケアツールを使ってみるというのを、お勧めしています。

国内で開発されているヘルスケアツール

国内 ヘルスケア 日本で作られているヘルスケアツールにはどのようなものがあるのでしょうか。いくつかご紹介いたします。

■24時間365日、医師に相談できるアプリ「LEBER」
・現在医師200名(2021年4月時点)が在籍して対応している
・病院に行く前に簡単にチャット問診ができ、症状をもとに緊急性や適切な診療所を助言してくれる
・症状をもとに、近くの医者や薬局を教えてくれ、さらに市販薬のアドバイスもしてくれる
・30日間無料。その後、1法人・団体5000円から

■手の中に納まる、かかりつけ医アプリ「HEALTHY LAB」
・歩数や消費カロリー、心拍数、睡眠時間などを管理し食事を記録してカロリー計算してくれる。さらに睡眠時間、労働時間、検診の検査データ、服用している薬の登録もできる
・健康年齢、病気発症予測、リスク軽減予測を見える化
・管理栄養士とチャットを通して一人一人にあわせたアドバイスや健康相談を受けられる

■食べることから健康を考える「おいしい健康アプリ」
・病気予防・管理、ダイエットを目的とした管理栄養士観衆のレシピ検索・献立作成サービス
・症状や病気別、年代別に合わせて検索することもできる
・クックパッドのヘルスケア事業部から会社分割して生まれた一般向けのアプリ

■フィットネス音声コーチアプリ「Beatfit」
・ダイエット、ボディメイク、ストレス解消を目的としたアプリ
・ユーザーに合った運動プログラムを提供
・音声ガイドで指導をしてくれるため、場所を選ばず、どこでもプロにコーチングを受けることができる
・寝起きヨガ、おやすみ瞑想など運動以外のものや通勤ウォーク、3分ストレッチなどのメニューもある
・30日間無料。法人で従業員50名の場合月額2万円から。その他のプランもあり

■携帯電話会社によるヘルスケアdocomo「dヘルスケア」、KDDI「ポケットヘルスケア」、Softbank「HELPO」
以前、携帯電話会社によるヘルスケアツールを紹介した時には3社そろっていませんでしたが、現在は3社ともリリースしています。「dヘルスケア」「ポケットヘルスケア」「HELPO」だけではなく、会社によっては他の種類のツールもリリースしていますが、ここではこの3つを紹介します。
「dヘルスケア」は、携帯と連動して歩数を換算し、毎日の歩数がdポイントになり、さらに毎日配信される歩数ミッションを達成すると達成ポイントももらえます。また24時間実名の意志にチャットで気軽に何度でも相談可能。そのほか、12種類のお悩み(ダイエット・メタボ、疲れ・だるさ、睡眠不足などのお悩みを設定できます)に合わせた「食事」「運動」「休養」の健康ミッションが提示され、それをクリアすると達成ポイントがもらえるという仕組みです。
「ポケットヘルスケア」は、2020年11月下旬から東京都豊島区とともに実施していた東京都主催の「令和2年度 東京都次世代ウェルネスソリューションの構築事業 (以下 都公募事業)」によって作られたものです。正式運用は2021年4月以降予定となっています。内容としては、日々の健康データ(体重、血圧、健康診断の結果など)を蓄積し、健康スコアを出し、将来の生活習慣病発症リスクを提示。またAIによる受診相談や医療機関の検索もできます。今後の追加予定の機能は、オンライン診療とオンライン服薬指導となっています。
「HELPO」は、2020年7月29日にリリースしたオンライン健康医療相談サービスです。病気の予防や未病、健康増進に役立つ機能をワンストップで提供してくれます。具体的には、オンライン健康医療相談をチャット形式で気軽に相談できたり、自分に合った病院や一般用医薬品の購入ができたりすることができます。

医療に関することから、その他のことまで、ヘルスケアツールも様々なものが存在しています。

海外で開発されているヘルスケアツール

海外 ヘルスケア では次に、海外で開発されているヘルスケアツールには、どのようなものがあるかというと、例えば下記のような4つのものがあります。

■AI健康診断サービス
・サービスとしてはアプリでの簡易診断と遠隔診療 (医師診療が必要な場合)
・無料 (基本サービス)/利用者課金 (遠隔診療のプレミアムサービス)
・1万以上の症状をプログラムしたAIエンジンを搭載している
・6年以上の開発期間(European Commission からの出資)

■エビデンスに基づくメンタルヘルスのケア
・サービスとしては治療⽅針の検討
・保険償還/ NHS( National Health Service イギリスの国営医療サービス事業)、米国保険者大学等からの利用料をとっている
・エビデンスに基づくプログラムを提供し、60件以上のリサーチレポートを搭載

■食生活改善プログラム
・サービスとしては糖尿病予防ケア/肥満予防ケア/アレルギーケア
・保険償還 (スイス・ドイツ)/F2Fでの栄養指導にオンライン指導を付与
・テーラーメイドの指導プログラムを提供
・登録栄養士による食事や運動指導を行っている
・NHSの糖尿病予防・治療プログラムに選出させている

■遠隔診療
・サービスとしては医師件索/医師の診断/薬の処方
・単体収益(サービス利用料として使っている人からお金をとっている)
・医師の診療を基に薬の処方も可能
・処方された薬を薬局から自宅まで郵送してくれるサービスもあり

日本でもすでに同じようなタイプのものが作られている部分もありますが、海外の方がIT面で言うと一歩先を進んでいるようにも感じます。また特徴として、海外では大会社だけがこういったツールを作っているわけではなく、ベンチャー企業など小さな規模での会社でも開発を進めているという点です。日本よりも海外の方が、健康経営にこれからの未来を見ているのかもしれません。

国内のヘルスケアツールはコラボを始めている

健康診断 ヘルスケアツールをいくつか紹介してきましたが、この分野は現在発展中のもので、どんどん進化を遂げていっています。最近ではヘルスケアツールとコラボをして、新しい形を生み出しているものもあるので、そちらも紹介します。

■地域資源×ヘルスケア
四国内にある観光資源を活用してヘルスケアを行う官民共創の取り組みをしている、一般社団法人ソシオデザインとサンスター株式会社。二つの団体が協力して、取り組みを始めています。今は、どうやって活用しているかの公演を行っているようです。
もう一つが、凸版印刷株式会社が行っている「健康ステーションサービス」。これは、地域スーパーを核とした地域包括ケアシステムの構築を促進するものです。

■スポーツ×ヘルスケア
スポーツの分野では、株式会社ルネサンスが行っている健康寿命延伸を行うために、地域にいる人材で新しいことを行っていこうという取り組みです。地域人材による新たな地域資産業を起こし、街づくりにまで発展させています。

ヘルスケア単体での取り組みはもちろん大事なことですが、他の項目で紹介してきたようにヘルスケア分野はIT分野とかぶせて考えるだけではないというものが出てきています。

本当に必要なヘルスケアツールというのはどういうものなのかというのは、健康経営がどうあるべきなのかという正解がまだない状態なのと同じなのかもしれません。これからも様々形のヘルスケアツールが生まれてくるのではないかと思います。

健康経営は他の会社とタッグを組んで進めていくもの

タッグを組む 健康経営は自社での取り組みが整ってくると、他社とのコラボを考えて新しい健康経営を考えていく企業が出てきています。これまでは健康経営を自社で試したものを外に販売するツールにするというだけでしたが、ヘルスケアツールにおいても健康経営と同じ傾向があり、複数の企業で合同で開発をしたり、地域の資源を使ってヘルスケアツールを発展させたりという動きが出てきました。

健康経営を始めたばかりの企業は、まず他社が作ったヘルスケアツールを使い、慣れてきたら自社開発を行い、さらに慣れてきたら他社や地域とのコラボを考えていくと、健康経営とは何なのか、ヘルスケアツールとは何なのかということに対しての答えを、自社の考えとして出せるようになっているかもしれません。健康経営もヘルスケアツールも、まだまだこれからの分野です。この先も、もっと新しい形が生まれていくでしょう。

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