• 健康経営
  • 2022.05.12

食生活の改善は健康の源!社員の食生活改善に取り組む企業の事例とは?

食生活のブロック
目次

社員が健康的な食生活を送るために企業ができる取り組み

健康経営の認定条件には食生活の改善も含まれているので、社員の食生活の改善が必要です。個人の食生活を企業が改善するのは一見難しく感じられますが、実際に社員の食生活改善に取り組む企業は多くあります。
今回は、社員の食生活を改善するために企業ができる取り組みを、実際の事例と交えてご紹介します。

健康的な食生活とは?

健康的な食生活を送るためには食べる物だけではなく、さまざまな条件を満たした食事管理が必要です。ここでは、健康的な食生活を送るために必要な条件をご紹介します。

朝・昼・晩の決まった時間に食事をする

毎食決まった時間に食事をすることで、体内時計が狂うことを防ぎます。体内時計とは人間の体に備わっている、昼と夜での活動状態を制御する機能です。

体内時計が正常な状態であれば昼は活動状態になり、夜は休息状態になるため自然に規則正しい生活を送れます。
昼に眠くなったり夜に目が覚めたりすることがなくなるため、睡眠不足による社員の生産性の低下を防げるでしょう。

しかし、決まった時間に食事をしなければ体内時計は狂います。
また、食事の間隔が開きすぎると血糖値が急激に上昇したり、吸収率が上がって太りやすくなったりします。糖尿病や肥満症などの生活習慣病を引き起こす可能性もあるため、注意が必要です。

最近は朝食を食べない若者が増えていたり、シフト制の職場では昼食の時間が日によって異なったりと、毎食決まった時間に食事ができない人が増加しています。
会社にいる間だけでも時間を守れるように、昼食の時間はなるべく一定にするなどの配慮が必要です。

栄養バランスのとれた内容

理想的な栄養バランスの食事をとるために、次の点に沿って内容を決めるといいでしょう。

  • 三大栄養素である炭水化物・タンパク質・脂質を程よい割合で組み合わせる
  • 野菜を積極的に食べ、ビタミンやミネラルを摂取する

三大栄養素の割合は、炭水化物が50〜60%、タンパク質が13〜20%、脂質が20〜30%以内に収めるのが理想です。また、三大栄養素の他にもビタミンやミネラルなど体に必要な栄養素があるため、それらは野菜や果物、きのこや乳製品などで補いましょう。

数値に表すと難しく感じますが、主食・主菜・副菜を基準に献立を組み立てると自然にバランスのとれた内容になります。
主食は炭水化物で、米やパン、麺類などの中から1つ選びましょう。主菜はタンパク質や脂質を補う要素です。肉や魚などメインのおかずになるものを決めます。

そして副菜はビタミンやミネラルなど、主食と主菜だけでは不足している栄養素を含む内容にします。主食と主菜に合わせて、野菜や果物、きのこや乳製品などをバランスよく組み合わせるといいでしょう。

適量を守る

決まった時間にバランスの良い食事をとっていても、食べすぎていては本末転倒です。理想は腹八分目までで留めて、満腹になるまで食べることは避けましょう。

満腹になるまで食べると消化に時間がかかるため、消化器官に大きな負担がかかります。また、一日に必要なカロリーの量は活動量・年齢・性別によって異なります。そのため、必要なカロリーの量を把握させることが大切です。

厚生労働省によれば、必要なカロリーの量は以下の通りです。

出典:厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/05/dl/s0529-4e.pdf

身体活動レベルとは毎日の活動レベル・運動量を数値化したものです。レベルは1〜3段階まであります。
活動レベル1は生活の大部分が座位で静的な活動が中心的な人を指しています。テレワークなどで外に出ることが少なく、ほとんどの時間をデスクワークで過ごす人が該当するでしょう。

活動レベル2は座位が中心であるものの、職場内での移動や通勤、接客または軽い運動など立位での動作も行う人です。オフィスワークでも電車や自転車通勤をしていたり、仕事の後にジムに行ったりする習慣がある人などが当てはまります。
活動レベル3は移動や立ち仕事が多い人、スポーツなど活発な運動を行う人を指しています。座位での作業が少ない、飲食店や土木業の人が該当するでしょう。

一日の大半を勤務先で過ごす社員は、仕事内容によって活動レベルが異なります。活動レベル1と3では、同じ年齢・性別でも500kcal以上の差があることがわかります。適量を守るために、企業は社員の活動レベルがどれにあたるのかを把握し、年齢と性別に合わせた必要なカロリーの量を共有しましょう。

現代人の食生活は乱れている

ピザを食べる人

現代人の食生活は栄養過多であるにもかかわらず、栄養失調であると言われているほど乱れています。なぜ現代人の食生活が乱れているのか見ていきましょう。

過度なダイエットによる栄養不足

最近は痩せすぎている若い女性が多く見られます。原因は過度なダイエットによるものです。痩せる必要が無いのにもかかわらず、食事を抜いたり野菜のみを食べたりすることで、偏った食生活になり栄養不足に陥る女性が増えています。中には終戦直後の栄養状態よりも悪い状態である人もいるなど、10年以上前から問題視され続けています。

原因は「痩せている方がいい」という間違った認識や、痩せすぎによる病気・次世代へのリスクに対する知識不足です。街中やメディアにはダイエットに関する広告が溢れていたり、世間では太っていることは醜いという風潮があったりすることも女性のやせ願望を駆り立てる原因にあたるでしょう。

しかし、痩せすぎの基準やリスクについての情報はダイエットに関する広告などに比べると圧倒的に少ないのが現状です。
一般的に、痩せすぎているか判断するためには、BMIを基準にします。BMIとは、身長と体重から割り出す肥満度を数値化したものです。BMIが18.5未満であれば痩せすぎており、骨粗鬆症や貧血、拒食症などの摂食障害を引き起こす恐れがあります。また、痩せすぎている状態で妊娠をすれば、胎児に充分な栄養素を届けられず、低出生体重児として生まれるリスクが上がります。

低出生体重児とは、2500g未満で生まれた胎児のことです。生まれつきエネルギーを溜め込みやすく、将来糖尿病や高血圧などの生活習慣病にかかるリスクが高いのも特徴です。女性が痩せすぎていることで、本人だけではなく次世代にまで病気のリスクがあることを社会全体が知る必要があります。

そのために、企業内で社員一人ひとりが現状と適正体重を把握する機会を設け、痩せすぎや太り過ぎによるリスクを共有することも大切でしょう。

価格が安いファストフードを利用する人の増加

仕事が忙しく自炊する時間が無いことを理由に、安くて早いファストフードを利用する人が増えたことも原因の一つです。ファストフードは脂質や炭水化物が多く、野菜やミネラルが足りていないため、食べすぎると肥満や高血圧のリスクが上がります。

ファストフードでなくても、コンビニやスーパーのお惣菜もバランスを考えずに揚げ物ばかりを買うのは好ましくありません。主食・主菜・副菜のバランスを考えて組み合わせることが大切ですが、野菜が苦手だったり、揚げ物が好きだったりすると自分でバランス良く管理することは難しいでしょう。

昼食など、企業内で食事をする時間だけでもバランスの良い食事ができるように、管理栄養士監修の社食などを提供することで自然に社員の食事管理が可能です。

実際に企業が取り組む食生活の改善方法

ここまで、食生活が乱れる原因や目指すべき健康的な食生活について紹介してきました。これを踏まえて、企業は食生活の改善に対してどのように取り組めばいいのか、既に取り組んでいる企業の事例と共にご紹介します。
取り入れられることは導入して、企業内で健康への意識を向上させましょう。

栄養バランスのとれた社食

福利厚生として社食を導入することで多くの社員が利用することが期待できます。実際に株式会社タニタ食堂では、健康的な食事管理を目指して、管理栄養士が監修した社食を提供しています。美味しくて栄養バランスが良く安いと社員からは評判です。
社食導入後は社員1人あたりの医療費が18,204 円削減しており、健康経営の努力の成果が表れています。

社食を導入することは社員の家計を助けることにも繋がるため、離職者を減らすことにも繋がるでしょう。
しかし、社食は厨房が必要だったりコストがかかったりするため、導入できない企業もあります。その場合は企業用のお弁当宅配サービスなどを利用するのもいいでしょう。

食育研修の導入

食に関する知識を改めて共有することで、今までの食生活を振り返る機会を与えられます。仕事の忙しさや好き嫌いを理由に偏った食生活を送る社員も、乱れた食生活が健康を害するリスクを知れば、食生活を見直すきっかけになるでしょう。

実際に株式会社金子製作所・味の素株式会社・東洋インキグループなどで食育研修は行われています。
最近は企業向けの食育研修の講義を行うサービスもあるため、利用してみるのもいいでしょう。

実施の結果、社員の健康意識が向上したり、減量に成功したりと健康経営を促進できています。

朝・昼に食事を提供する

株式会社金子製作所では朝と昼の決まった時間に社食を提供して健康的な食事管理をしています。
1日3食のうち、2食の時間を一定にできるのに加え、価格も朝食は100円、昼食は企業が100円を負担するなど安いため健康にも家計に優しい取り組みです。実際に朝ごはんを食べなかった社員が食べるようになったり、朝・昼と適量を食べることで夕食の量が減ったりする効果が表れています。

まとめ

現代の日本はコンビニやスーパー、飲食店などの発展で、食べたい時に食べたいものが食べられる環境です。しかし、それが時には食生活の乱れを引き起こすこともあります。人間の体は食べたものから作られるため、健康のために食生活を整えることは非常に大切です。
社員の健康を守るために、社食や食育研修などを導入し、健康的な食事管理を始めとした健康経営を促進しましょう。

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