- 健康経営
- 2022.04.25
不定愁訴は誰にでも起こる!改善するには企業の協力が必要な理由
不定愁訴について理解し、社員に寄り添える企業を目指す
不定愁訴は「女性の体調不良」や「なんとなく体調が悪い」など、曖昧に表現されることが多いでしょう。不定愁訴は女性だけではなく、男性にも起こりうる症状のため、企業の正しい理解が必要です。
社員に寄り添う企業の体制を築くために、不定愁訴について正しい知識を身につけることから始めましょう。
不定愁訴の意味とは?
ここでは不定愁訴の原因や症状、発症した場合の対処法について説明します
不定愁訴の原因と症状
不定愁訴は、原因のはっきりしない体調不良を指します。主な症状は体のだるさや冷え、めまいや頭痛、不眠など人によってさまざまです。
その原因のほとんどは自律神経の乱れであると言われています。
自律神経とは、自分の意思と関係なく勝手に働く神経です。例えば内臓や体温調節など、意識をせずとも勝手に働く体の機能は自律神経が制御しています。
自律神経には「交感神経」と「副交感神経」の2種類があり、交感神経は体が活発な状態のとき、副交感神経は体が休息状態のときに優位に働きます。
しかしこの2つの神経のバランスは、不規則な生活やストレスなど、さまざまな原因で乱れてしまうのも特徴です。自律神経が乱れると体のだるさや冷え、頭痛などを感じ、不定愁訴に陥る可能性が高くなります。
また、治療をしようにも自律神経が乱れる原因は多岐に渡るため、特定が難しいことも特徴です。改善する術が分からず、長い間症状に苦しむ人も多くいます。
男性にも不定愁訴は起こる
不定愁訴は女性の体調不良というイメージが強くありますが、男性が不定愁訴を発症する可能性はあります。その原因の多くは、男性更年期障害です。
更年期障害は、加齢による性腺ホルモンの低下により、自律神経が乱れることが原因で起こります。主な症状は、イライラしたり気分が沈んだりする精神的な症状や、火照りなどの肉体的な症状です。
更年期障害は主に女性が発症するものとしての認知が広く、男性に発症することはあまり認知されていません。更年期障害が原因の不定愁訴になっていても、本人が気づかないまま無理をしてしまう傾向にあります。
不調を訴えても、周囲の男性更年期に対する理解がないためにわがままに捉えられて、1人で悩みを抱えるケースもあるようです。
1人で悩む社員をなくすために、男性更年期障害が不定愁訴の原因にもなることを理解する必要があります。
不定愁訴は何科に行けばいいのか
不定愁訴は原因がはっきりしなかったり、体のさまざまな場所に不調が表れたりします。そのため、病院で受診しようにも何科に行けばいいのか、どこを検査してもらえばいいのか分からない場合がほとんどです。
さまざまな場所に症状が現れている場合は、その中で1番辛い場所の専門科を受診しましょう。イライラしたり気分が落ち込んだりする場合は精神科、女性の場合は婦人科がおすすめです。
だるさや頭痛などは内科、腹痛や下痢などは消化器科を受診しましょう。
また、病院で受診しても異常が見つからないことも多く、最終的に精神科で自律神経の乱れによるものと診断されることも多々あります。しかし、自律神経の乱れによるものと自己判断するのは危険です。
深刻な病気が潜んでいる恐れもあるため、原因不明の不調が治らない場合は早めに病院を受診しましょう。
不定愁訴の改善方法
ここでは、不定愁訴を改善するためによく行われている方法をご紹介します。
漢方を利用してみる
漢方薬とは、中国を起源に日本で独自に発達した処方薬で、生薬を組み合わせて作られています。基本的には2種類以上の生薬を組み合わせて作られるため、1種類でさまざまな不調に対応することが可能です。そのため、不定愁訴のように数箇所に不調を感じている患者も効果を得られるでしょう。
その他にも漢方薬を使うことのメリットには、次のことが挙げられます。
- 副作用が少ない
- 体質から改善するため、原因が分からなくても効果が出やすい
西洋薬は人工的に作り出した化学物質を使っているため副作用が出やすく、人によっては強く出たり命に関わったりします。
一方で漢方薬は自然界にあるものを材料にしているため、副作用の少なさが最大のメリットでしょう。しかし、人によっては漢方薬に対してアレルギー反応を起こし、副作用を引き起こす可能性もあります。医師の診断を受けたうえで処方してもらいましょう。
また、漢方薬は体質から改善し、体を根本から健康にすることを目的に作られています。不定愁訴の主な原因はホルモンバランスや自律神経のバランスの乱れなど、体質的な改善を必要とすることがほとんどです。
そのため、不定愁訴などはっきりとした原因が分からない不調には、漢方薬が効くことが多くあります。検査をしても異常が見つからない場合は、漢方薬を処方してもらうのもおすすめです。
首のこりをほぐす
約30年前に、首の筋肉に異常があると自律神経が乱れることが発見されています。
東京脳神経センターの研究結果によれば、不定愁訴を訴える患者に首の筋肉のこりをほぐす遠赤外線や電気刺激療法のみを施したところ、9割以上に改善が見られたそうです。さらに10箇所以上の不調を訴える患者が3割程度にまで減ったり、1割弱の患者は完治したりと目に見える結果がでています。
薬を使わなくても、首のこりをほぐすだけでほとんどの不定愁訴が改善するため、なんとなく体調が悪い時は首からほぐしてみるのもいいでしょう。
社員が不定愁訴になった場合、このような知識がなければ原因を解明するのに時間がかかるため仕事のパフォーマンスが落ちるなどの危険があります。首のこりが不定愁訴の原因になることを共有したり、福利厚生としてリラクゼーション施設の利用を導入したりするなど対策が求められます。
不定愁訴の社員に寄り添える企業の取り組み
社員が不定愁訴になった場合、企業はどのように寄り添えばいいのでしょうか。社員の不定愁訴を改善するための具体的な対策について説明します。
不定愁訴について企業全体が理解する
不定愁訴は本人も医師も原因が分からず、精神的なものと見なされてしまうケースが多いことで有名です。そのため、不調を訴えても周囲からは「甘えている」や「怠けている」などと理解を得られず、除け者扱いをされる人が増えています。
特に男性は「それぐらい大丈夫だろう」と勘違いされることが多く、次第に周囲に相談できずに塞ぎ込んでいきます。不調があるにもかかわらず、周囲に理解してもらえないストレスも重なり症状はさらに悪化していく一方です。
すると思うように体をコントロールできなくなり、仕事の効率も下がることが懸念されます。
社員が自身の不定愁訴に1人で悩むことを防ぐために、不定愁訴は原因が分からずに苦しむ人が多いことや改善方法を理解することが必要です。
ストレスが少ない体制を作る
不定愁訴の主な原因である自律神経の乱れは、ストレスによって引き起こされることがほとんどです。気温差や睡眠不足などの物理的ストレスのほか、企業内での人間関係や気疲れなどの精神的なストレスも大きく影響します。そのため、企業ではオフィス内の室温を適温に保ったり、規則正しい生活ができるように残業を減らしたりする努力が必要です。
また精神的なストレスを減らすため、企業内の人間関係を良好に保つことも効果的です。特に上司との関係が良くないことでの自律神経のバランスが乱れ、不定愁訴を引き起こすケースがあります。
飲み会の参加があまり得意ではない社員に参加を強要することも精神的なストレスにつながるなど、人によって良好な人間関係の築き方は異なります。
すべての社員が居心地のよい企業を作るためにも、柔軟性のある人間関係を築きましょう。
福利厚生としてヘルスケアサービスを導入する
最近は福利厚生としてオフィス内にヘルスケアサービスを導入する企業も増えています。ヘルスケアサービスを導入するやり方が分からない企業は、企業向けのヘルスケアサービスを利用するのもおすすめです。
実際に、株式会社ウエルアップでは企業に対して健康機器のレンタルサービスをスタートしています。
血圧やストレス状態を測定する健康測定機器や、整体マシンなどのマッサージマシンをレンタルし、オフィス内に「カラダリセットルーム」を設置できるサービスです。
不定愁訴を改善するのに効果的な首のこりをほぐすマッサージ機器もあるため、就業前や就業後に気軽にリフレッシュできます。
しかしオフィス内に設置するため、コストやオフィスの広さが必要になります。そのため、導入が厳しい企業もあるでしょう。その場合はマッサージなどのリラクゼーション施設を、格安で利用できる福利厚生を制定する方法もあります。
一般的にリラクゼーション施設は値段が高いなどの理由で、積極的に利用する人はあまり多くありません。企業が格安で利用できるようにするなど、率先してヘルスケアを呼びかけることで不定愁訴を防ぐことにつながります。健康経営の方針に沿って、社員の健康に投資することで業績を上げることを目指しましょう。
まとめ
不定愁訴は原因がはっきりしないため、気づくのが遅れて悪化するケースが多くあります。本人は不調を感じていても異常が見つからず、医者や周囲からは「思い込み」や「甘え」などと捉えられることも多く、改善することを諦める人もいます。
仕事を休みづらかったり、残業を減らしづらかったりすると更なるストレスにより免疫が落ち、他の病気を併発する可能性もあるため、注意が必要です。企業が不定愁訴に関する知識を共有し、ヘルスケアの福利厚生を導入することが不定愁訴を防ぐ土台になります。また、求職者からの印象も良くなるため、良い人材を集めるのにも効果的です。社員が健康な状態で業績を上げて、健康経営を推進しましょう。
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