- 健康経営
- 2022.06.30 (最終更新日:2022.07.04)
企業として定時退社を推進するために重要な二つの施策とは?
皆さんの職場では残業が常態化していませんか?ここ近年の働き方改革によって定時退社の推進なども行われています。 残業がなく定時退社ができる組織とそうでない組織の違いは一体何なのでしょうか。
本記事では残業が企業・労働者にどのようなデメリットをもたらすか、業務をどのように削減していくか先行事例を含めて説明していきます。
残業が常態化するデメリット
残業が常態化することで、社員そして会社にも様々なデメリットがあります。
ここでは特に会社にとってのデメリット、残業削減・定時退社のメリットについてお伝えします。
デメリット①従業員の健康問題、プレゼンティーズムなどパフォーマンス低下
定時での退社が行えず、残業が常態化することで最も問題になるのが従業員の方の健康上の問題や、職場での生産性低下です。
定時退社ができないと、労働時間が長くなります。その結果、過労状態になると従業員の健康問題が起こりやすくなるのです。そうした健康問題の一つとして過労働時間と脳・心臓疾患の関連が挙げられます
研究によると、過去1ヶ月間の過重労働時間が1時間以上(月時間外に換算すると80 時間以上)では就労度 40 時間以下に比べて心筋梗塞。リスクが 1.9 倍になるという研究もあります。
長時間労働者の 健康ガイドより
また近年ではうつ病や精神疾患など長時間労働とメンタルヘルスの関係についても研究が進んでいます。
これら疾患の発症前・何らかの病気に発症する以前に、「出勤はしているけど何らかの症状によってパフォーマンスが低下した状態」いわゆるプレゼンティーイズムの状態に社員がなっている可能性もあります。
こうした社員のパフォーマンス低下に伴う労働生産性低下を防ぐためにも、定時退社の施策を考えることは非常に有用だと考えられます。関連コラム
デメリット②企業イメージ低下・採用のコスト増大
長時間労働は、企業イメージを損なう可能性もあります。近年 SNS の普及などで、従業員の何気ないツイートなどが大きな社会問題に発展する事例が見受けられます。SNSや転職サイトなどで残業に関する記事などが見られると、就職希望者が減ってしまい、採用コスト増大に繋がります。
いわゆるZ世代の人々はワークライフバランスを重視する傾向があると言われているため、その点でも定時退社を謳い実現することができれば、優秀な人材が確保しやすくなるでしょう。
こうした現状を踏まえて、上層部を含めた社員が一丸となり、時間外労働削減・定時退社に取り組む必要があります。
残業の原因となる二つの要素とは?
定時退社を「ノー残業デー」など特定日だけで行うことももちろん重要ですが、長期的には「業務全体の改善・効率化」と「個人の業務効率の最適化」によって仕事全体を整理していくことで、無理なく定時退社ができるような企業風土の醸成が必要だと考えられます。
定時退社の施策を考える前に、下記2点についても考えていきましょう。
業務改善①業務の見える化でムリ・ムダ・ムラを減らす
業務の改善を行う際に重要なのが、業務フローの把握と現在行っている業務の効率化です。
一般的にはガントチャートやフロー図などを用いて、定型業務・非定型業務の列挙とその手順や責任者などを記入していきます。この作業により、業務全体が見える化することが可能です。個人の業務量や個人・部署間の連携などが把握しやすくなります。
業務の棚卸しができたら、次はそれぞれの業務について効率化が可能かを検討していきましょう。
ここでよく用いられる考え方が「ダラリの法則」と呼ばれるものです。
ダラリとは「ムダ」「ムラ」「ムリ」の語尾を取ったもので、それぞれ業務フロー内での無理・無駄・ムラがないかを考えていきます。定例のミーティングなどで、実際の業務担当スタッフと管理者それぞれの視点で考えていき、その場で効率化が図れれば、業務把握もできますし、スタッフも自分の声が反映されて仕事への意欲につながるかもしれません。
効率化を考える中で
こうした視点を持ちながら、改善できる点を探していきます。
似たような業務改善事例として、サイバーエージェントでは「捨てる会議」というものがあります。
捨てる会議では、管理職を交えたグループを組み、ワークショップのような形で捨てるものを選別していきます。
さらにそれが点数化されていたり、社長が参加するなど全社をあげた取り組みになっています。こうした業務全体の整理を定期的に行うことが、毎日の定時退社を実現するために必要です。
業務改善②残業の多い社員の把握
業務フローを作成していく中で、スタッフ間の業務量の差も見える化されます。そこで業務量と残業量の関係を比較し、どのような関係になっているかを把握していきましょう。業務量の多いスタッフに残業が多い場合、当然ですが業務量の平均化を図ります。
業務量が客観的にはそれほど多く無いにも関わらず、残業が多いスタッフに関しては、面談などを通じてどの業務がボトルネックになっているかを把握し、改善可能かを検討していきましょう。
業務量が人並でも残業が多い場合は、仕事の段取りや優先順位付けの問題などが考えられます。そこを補助するような配置にするといった工夫で改善を目指しましょう。
来週からできる!定時退社のための具体的な取り組み
業務改善による効率化と合わせて、実際の定時退社の取り組みを進めていきましょう。この項目では実際に行われている定時退社のための取り組みをご紹介します。
最初は反発があったり、定着まで時間がかかるかもしれませんが、地道に取り組んでいきましょう。
①トップが健康宣言の中で「時間外労働の削減」メッセージを発信する
健康経営を推進している企業であれば、健康宣言を行っていると思います。その中に時間外労働の削減を入れ込み、社内外に発信していきましょう。 そうでない場合でも、社内報や職員会議等で社内に発信していくことで、トップの思い・方向性を示していきます。
②ノー残業デーやノー残業ウィークなど勤務にあった取り組みの実施
一般的に知られるようになったノー残業デーやノー残業ウィークですが、ただ取り組むだけでは他の出勤日にしわ寄せがくるなど賛否両論あるかと思います。しかし定時退社を進める上で、残業をしないという社内風土の定着や、普段の業務をどう圧縮するかという、個人の工夫を促す意味でも効果があると考えられます。
服装などでノー残業者の内外への周知
上記のノー残業デーは全社的・部署内での取り組みになりますが、ノー残業デーの設定が個人によって違う場合、ノー残業デーの見える化が有効です。 例としては、服装を変える・バッジやタグを着ける等で見える化を行います。
メリットとしては、
などが挙げられます。
上司や管理職が積極的に退社を促す。
定時退社がしにくい理由の中で「上司などの管理職や同僚が残業していて帰りにくい」という意見も散見されます。ネット上ではこれを「付き合い残業」や「アピール残業」とされているようです。定時退社推進のためにも、管理職自身も業務効率化を図り定時退社を行う、定時退社を促すなど実践によって他のスタッフに働きかけていきましょう。また一般的に管理職・上級職になるほど業務が膨大になり、残業も増えやすいです。自分の業務範囲を見直し、業務の一部を移譲していくことも大切です。
一定時間でのパソコンのシャットダウンや電気の消灯
強制的に残業が行えない環境にしてしまうという取り組みです。パソコンは強制シャットダウンの数分前に保存を促すリマインドがされ、その後設定後にすべてシャットダウンされるというものです。口頭で退社を促してもあまり効果が無い場合には効果的でしょう。定時退社は業務効率化と定時退社施策の二軸で取り組む事が重要
定時退社は業務効率化と定時退社施策の二軸で取り組む事が重要です。
両輪が上手く回ることで、常に定時退社を行えるような仕組みを作ることができます。ノー残業デーなども活用し、ワーク・ライフバランスの取れた職場づくりを目指しましょう
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