- 健康経営
- 2022.11.10
スーパーフレックス制度と健康経営の関係とは?
スーパーフレックス制度とは?
スーパーフレックス制度とは
スーパーフレックス制度(フルフレックス制度)とは、労働者が働く日時や場所を自由に決められる制度のこと。ある所定の期間内における総労働時間や日数を満たすことを条件に、より自由な働き方が可能な制度です。
厚生労働省の資料を見ると、労働時間法制(1987年)にフレックスタイム制と似ている変形労働時間制が出てきていますが、それ以前も運用上認められるなど意外と長い歴史があるようです。
(参考:労働時間法制の主な改正経緯について)
以前から、個々人に合わせた望ましい働き方の一つとされていたようですが、近年のライフスタイルの多様化や育児・介護との両立の観点からより柔軟なスーパーフレックス制度を採用する企業が増えてきています。
フレキシブルな働き方ができる点で注目を集めていますが、従業員の健康保持・増進を進める健康経営へと繋がる面もあるため、健康経営を推進している企業の場合、メリットの多い制度といえるでしょう。
フレックスタイム制度との違い
類似の制度として「フレックスタイム制度」がありますが、両者の違いとしてはコアタイムの有無が挙げられます。
- フレックスタイム制度:必ず出勤が必要なコアタイム+自由に出退勤可能なフレキシブルタイム
- スーパーフレックス:コアタイム無し、全てフレキシブルタイム
従来のフレックスタイム制度だと、コアタイムがあるため必ず出社しなければならない時間があります。スーパーフレックス制度なら、時間的な拘束がないため、通院や介護など変則的な都合によっても調整できるメリットがあります。
スーパーフレックス制度と健康経営の関係
スーパーフレックス制度が健康経営とどのような点でしてくるのか見ていきましょう。
長時間労働の抑制
スーパーフレックス制度は労働者自らが労働時間を自由に選べるため、長時間労働の解消が図れる可能性があります。
私的な予定が入っている日は労働時間を短めにし、予定のない日に補填するなど総労働時間を考慮しながら働くことができるため、計画的に仕事をしながら残業時間の削減が期待できます。
長時間労働は脳・心臓疾患の発症と関連性が高いという医学的な知見が報告されています。
スーパーフレックス制度の導入によって、労働者が自らの勤務時間を調整し長時間労働の削減に繋がることが、従業員の健康増進につながります。会社としては健康保険料の削減などの効果が見込めるでしょう。
健康経営における従業員の健康増進という観点から、スーパーフレックス制度の導入は有効だと考えられます。
子育てや介護などを仕事と両立しやすくなる(両立支援)
従業員一人一人が仕事に専念するためには、仕事と家庭のバランスが取れていることが重要です。
家庭においては各世代で様々な状況下にあることが考えられます。
- 保育園に子供を預けながら働いていて、早めの迎えが必要
- 親の介護があり、デイケアなどに預けながら仕事をしている
- 定期的な病院受診やリハビリを受けながら仕事をしている
- 資格取得や大学・講座に通いながら仕事をしている
健康経営優良法人の認定要件の中にも「ワークライフバランスの推進」といった項目が設けられ、健康経営に重要な要素と位置付けられています。
そうした多様化している生活背景に合わせた働き方導入のためにも、スーパーフレックス制度は有効です。 事例として、スーパーフレックス制度が導入された企業では、子供が急遽体調を崩して保育園から帰ってきた場合でも、規定時間以上働いていれば有休を使わずにその日の業務を終了して出勤扱いにでき、有給等を使わずに対応可能であったという声も聞かれています。
パフォーマンス向上
上記のように労働時間を自分で選べたり、仕事と家庭の両立が行いやすくなることで、従業員の仕事に対するパフォーマンスが向上することが期待できます。スーパーフレックス制度導入の手順とポイント
スーパーフレックス導入の手順を確認していきましょう。
導入手順
①就業規則への規定
スーパーフレックス制度を導⼊するためには、就業規則その他これに準ずるものにより、始業及び終業の時刻を労働者の決定に委ねる旨を定める必要があります。
就業規則への例文:
「フレックスタイム制が適用される従業員の始業および終業の時刻については、従業員
の⾃主的決定に委ねるものとする。」
②労使協定で所定の事項を定めること
労使協定で定める必要があることとして、
・対象者について (全従業なのか、特定部署なのか、特定個人なのか)
・清算期間について(最大3カ月 ※1カ月超える場合は労働基準監督署長への届け出が必要)
・清算期間における総労働時間について(清算期間における所定労働時間)
・1⽇の労働時間について(標準を定め)
などを決める必要があります。(上項・厚労省資料 フレックスタイム制のわかりやすい解説&導入の手引きより引用・一部改変)
③ポイント
- 社内・部署間コミュニケーション希薄化に注意:スーパーフレックス制度では自分の就業時間を設定できますが、同僚や他部署のメンバーと顔を合わせる頻度が減ることも想定されます。オンラインツールや定期的に顔を合わせるなどして、コミュニケーション不足に対する対策も必要です。
- 顧客や他事業所との連絡に注意:社内ではスーパーフレックス制度が認知されていたとしても、取引先や顧客まで周知できておらず連絡や対応に時間がかかることも想定されます。広報や勤務時間・対応可能時間の見える化など業務に支障をきたすことのないような対応が求められます。
- 勤怠管理に注意:就業時間管理や残業管理などが一般的な勤務形態より複雑化します。勤怠管理システムの導入や社会保険労務士や税理士など専門家に確認しながらシステム作りを行っていきましょう。
④参考資料
国もフレックス制度やスーパーフレックス制度を推進しています。
フレックスタイム制のわかりやすい解説&導入の手引という資料にはフレックス制度。スーパーフレックス制度の両方について詳しく掲載されています。
導入検討の際にはぜひ目を通しておくことをおすすめします。
フレックスタイム制のわかりやすい解説&導入の手引
両立支援や長時間労働抑制など、スーパーフレックス制度は健康経営にも繋がる
スーパーフレックス制度と健康経営の関係について解説しました。
制度導入によって、働き方改革の中でも両立支援やそれに伴う柔軟な働き方・長時間労働の抑制が行えることで、従業員のパフォーマンス向上や職場への帰属意識向上など様々なメリットが考えられます。
本記事や参考資料を用いて、スーパーフレックス制度導入を一度検討してみてはいかがでしょうか?
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