- 健康経営
- 2022.10.28 (最終更新日:2022.11.04)
アフターコロナを見据えた、新しい働き方のポイントと健康経営について
アフターコロナの働き方はウィズコロナを経て、コロナ前とは大きく違った形になりつつあります。
新型コロナウイルスがもたらした働き方に関する変化を踏まえて、企業が取り組むべき新しい働き方について考えていきましょう。
アフターコロナとは
アフターコロナとは
アフターコロナは定義が明確ではない部分も多いですが、ワクチンなどである程度感染流行のコントロールが効く状態の事や、新型コロナに対する治療薬が完成して有効な対策が取れるようななった状態のことを指します。ポストコロナとも呼ばれることがあります。
また感染に関することだけを示しているのではありません。コロナによって新たに常識化したこと(ニューノーマル)が推進され、コロナ流行以前に戻るのではなく、不可逆的な変化が起きるという意味合いも含まれているようです。
ウィズ・コロナとは
「新型コロナウイルスとの共存・共生」という意味で使われています。
2019年に発生した新型コロナウイルスの感染拡大が長期化し、2020年時点など治療法の確立していない状態では、感染症に留意した新しい生活様式を取り入れながら行動する状態のことです。
ニューノーマルとは
新型コロナウィルスの流行など、社会的に大きな変革に伴う不可逆的な変化のことをいいます。マスクの常時着用や在宅勤務、オンライン化、DXなどさまざまな変化が起き、それが常識化していくことを指すため、幅広い意味があります。
コロナ時代の働き方
テレワークの推進やDXの加速進化
以前より働き方改革推進の一環としてテレワークの推進が進められていましたが、日本企業においてはなかなか進んでいない状態でした。
しかし新型コロナウィルスの蔓延によって、強制的なテレワークへの推進が行われました。
厚生労働省の調査「テレワークを巡る現状について」の報告によると、令和が元年度のテレワーカーの割合は9.8%とされていました。令和2年度では15.4%と大きな伸びを見せています。しかし業種や地域によって差があることも指摘されています。
テレワークの労働者側のメリットとして、
- 通勤時間や移動時間を削減できる
- 自由に使える時間が増える
- 業務効率が高まる
- オフィスで仕事をするよりも集中できる
などのが上位に見られています。
また、企業側のメリットとしては、
- 働き方改革が進み時間外労働削減できた
- 業務プロセスの見直しができた
などが挙げられています。
しかし課題も顕在化しているようです。
- 社内コミュニケーションの減少
- 勤務時間の複雑化・仕事のオンオフがしにくいなど労働時間の問題
- 環境整備として書類のやり取りの電子化ペーパーレス化押印文化の見直し
- ネットワーク環境の整備やセキュリティ面の不安 通信費の自己負担
テレワークはコロナ感染時期の一過性ではなく、約7割の人がテレワークは定着するべきだと答えています。
(出典:「クオリティ・オブ・ソサエティ年次調査」)
テレワークが推進されれば、勤務形態の多様化などが課題として付随してきます。
テレワークでは勤務実態が把握しにくいため、テレワーク導入に合わせてフレックスタイムやスーパーフレックスタイムなどの変則労働制が導入できると、より働きやすい労働環境となることが考えられます。
関連コラム
ジョブ型雇用や人材シェアリングなどプロジェクトベースの働き方
日本の多くの企業で行われてきた雇用形態として、新卒で一括採用し、企業でジョブローテーションなどをくりかえしながら、OJT(on-job-training)での人材の育成が主に行われてきました新型コロナ流行前のように対面・オフラインでの仕事であれば、それぞれが他のメンバーの仕事の進捗を確認したり指示や指導・助言を受けながら成長していくことが可能です。
このよな人を仕事にあてがうようなメンバーシップ型の雇用が主で行われてきました。
しかしウィズコロナ・アフターコロナ時代では、リモートワークの割合が増えてきています。そうなった場合、各人がきちんと自分のジョブ(仕事・業務)が何かということを把握し、それを遂行していくというジョブ型の雇用・人事制度の推進が求められてきています。
ジョブ型を推進するにあたっては、職務のマニュアルやラダーなどを作り、きちんと各人のジョブを管理する必要があります。
ジョブ型の雇用と併せて、近年ではフリーランス人材や複業人材などの人材シェアリングで、必要なプロジェクトに関しては社外の人間を積極的に登用するプロジェクトベースの働き方も広まっています。
ジョブ型を推進するにあっては、職務のマニュアルやラダーなどを作り、きちんと各人のジョブを管理する必要があります。
そして自社に不足している人材や、何らかのプロジェクトでスキルを保有している人がいない場合は、社外の人材を積極的に活用したり連れてくることのできるサービスの活用も推進されてきています。
こうした人材シェアリングにが人手不足の解消にもつながる可能性があります。
新型コロナ流行による健康問題と健康経営
新型コロナ流行に伴うテレワークの推進によって見られる身体の不調としては
- 肩こり
- 精神的ストレス
- 腰痛
- 姿勢の悪化
- 目の疲れ
が上位5つとなっています。
テレワークやジョブ型の雇用・教育などで勤務形態を多様化したとしても、アフターコロナを見据えた従業員の健康対策を取ることができなければ休職や長期離脱の可能性もありえます。
今の時代に合った健康管理対策を会社ぐるみで進めていくことが重要です。
健康経営による健康格差・健康課題の解消
長時間労働の是正とワークエンゲージメント格差解消
コロナ禍は健康格差を生んだということが専門家の調査で指摘されています。
日本家計パネル調査を用いた検証では、コロナ禍での在宅勤務を開始したり・日数が増えた人がよりワークエンゲージメント(仕事への熱意活力没頭)が上昇し、長時間労働をしなくなった人ほどワークエンゲージメントが増加するという傾向が見られています。(参考:アフターコロナに向けたウェルビーイングと⽣産性の両⽴)
そのため、健康経営推進での長時間労働の是正や柔軟な働き方を推進が従業員の仕事への熱意や働き方を高めるということが考えられます。
また本調査では、
AIの導入やロボットの導入、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)を導入することで、主観的生産性や労働時間に良い影響を与えることが示唆されています。
これらの新しい技術の導入と、アフターコロナに合せた柔軟な働き方の推進によって、従業員の働きやすさを確保してワークエンゲージメントや生産性の向上を図りましょう。
メンタルヘルスとコミュニケーションの対策
前項で挙げたように、新型コロナウィルスの蔓延による急激なリモートワークへの以降や、外出機会・接触機会の減少によりコミュニケーション不足やメンタルヘルスの不調が顕在化してきています。
企業の取り組み事例を参考に、自社でも取り組みを推進していきましょう。
- オンライン休憩スペースの導入
- 1on1面談の推奨・実施
- 在宅勤務におけるメンタル不調に対する啓発活動
- 産業医とのWEB面談の実施
- ICTを用いたメンタルケア補完ツールの導入
企業としてはコミュニケーションの希薄化はメンタルヘルスへの影響だけでなく、ワークエンゲージメントの低下にも繋がるため、効果的な対策が求められます。
関連コラム
活動量低下とデジタルデバイス長時間使用の問題
自宅でリモートワークが常態化している場合、オフィスに出社しているよりもさらに身体活動量が落ちることが懸念されます。
コロナ前後の調査でも、感染拡大後では体重やBMIの増加・歩数の減少・自覚的な運動機会の減少など身体活動全般が低下し、体重増加など健康に悪影響を与える要素が増えていることが提示されています。
またリモートワークに伴い、パソコンやタブレット、スマートフォンなどデジタルデバイスの長時間使用が常態化することで、前項でも述べた首・肩・腰など筋骨格系の問題が増加することも懸念されます。
これらの健康課題に対し、企業は適切な身体活動に関する情報やパソコンなどの長時間使用に関する情報発信を行い、従業員の健康管理に努めていくことが重要です。例えば下記のようなものです。
- デジタルデバイスの使用に関しては、連続しての作業を1時間以内にする
- 長時間座りっぱなしを避け立ち上がり、腰や首への負担を軽減したり、立って働ける作業スペースを家の中で作る
- 屋外での有酸素運動は運動不足解消だけでなく、メンタルヘルスにも良い効果がある
リモートワークでの作業スペースの確認などを専門家に確認してもらうなども有効です。
変化をチャンスと捉え、積極的に活用しましょう。
ウィズコロナ・アフターコロナでは劇的な変化が多く起こっています。
これらの変化はコロナが落ち着けば元に戻るというものではありません。むしろ変化を改革のチャンスと捉えて、積極的に行動しアフターコロナを迎えられるように、さまざまな取り組みを進めていきましょう。関連コラム
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