• 働き方改革
  • 2022.12.07

ジョブ型雇用とは?知っておきたいジョブ型雇用の特徴・メリット・デメリットをわかりやすく解説

スペシャリスト
目次
雇用システム制度でいま話題となっているのが、欧米型雇用システムの「ジョブ型雇用」です。

働き方改革やコロナ禍により在宅ワークが普及したことから注目されています。 さらに政府も2023年春までにジョブ型の職務給中心の給与体系に移行する指針を策定することを明らかにしています。
ニュースなどでも多く取り上げられていますが、さまざまな意見があるため混乱している方も多いでしょう。

 「これからジョブ型雇用は、常識になるのか」
 「ジョブ型雇用を自社にどう取り入れればいいのか」

 などの悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか。 そこで今回は、経営者や人事担当者が知っておきたい、ジョブ型雇用の特徴やメリット・デメリットを解説します。

ジョブ型雇用とは?【仕事にあった人を配置する雇用方法】

グローバルビジネス

ジョブ型雇用とは、わかりやすく説明すると「仕事に人をつける(適所適材)」ということです。

企業が定義した職務内容(ジョブ)に必要な人材を採用・評価する雇用制度を示します。 職務内容には職務記述書(ジョブディスクリプション)に明記する必要があり、 従業員には、職務記述書に基づいたスキルや仕事内容が求められます。

ジョブ型雇用と日本型雇用制度(メンバーシップ型)とはどう違う?

では日本型雇用制度メンバーシップ型雇用とはどう違うのでしょうか。詳しく見てみましょう。
ジョブ型雇用メンバーシップ雇用
概念「仕事に人をつける(適所適材)」「人に仕事をつける(適材適所)」
職務明確に職務が決まっている明確に職務は決まっていない
職務記述書に基づいて行う(それ以外の業務を行なわない)未経験エリアに配属されることも普通
採用中途採用を基本新卒者の一括採用を基本
教育採用段階で求められるスキルを身に着けている採用後に徐々にスキルアップ
企業が明確にコストをかけて教育しスキルアップ集合研修やOJT・ジョブローテーションなど
自発的にキャリアアップする
報酬職務記述書の内容に対する成果勤続年数と等級・役割で徐々に報酬が上がる
流動性高い低い(長期雇用を目的としている)
ミスマッチであれば解雇・転職企業側からの解雇はない
メンバーシップ型雇用の根本的な仕組みは、次のような年功序列と賃金制度です。

  • 従業員の成長や人間性・将来性といった実施過程を能力評価する
  • 勤続年数や年齢をベースとした定期昇給制度
  • 一律で徐々に職能等級により給与が上がっていく職能資格等級制度
  • 職務とは無関係である生活給を支給サポート(住宅手当・家族手当・通勤手当など)
メンバーシップ型雇用制度の確立には、高度経済成長期における中で、雇用の維持と従業員の生活の維持を優先する背景がありました。

ジョブ型雇用の誤解される点

ジャブ型雇用もメンバーシップ型雇用もあくまでも「はたらくこと」に対する国や社会全体の取り組みの結果であることの理解が必要です。ジョブ型雇用の導入を検討しているのであれば、留意すべき点でしょう。

✅ジョブ型雇用もさまざまであり自由度もさまざま
✅職務記述書が存在していない場合は、独自の制度ととらえるべき

なぜ今ジョブ型雇用が注目されているのか【3つの理由を解説】

国際競争力

では、なぜ今「ジョブ型雇用」が注目されているのかを確認していきましょう。

 【理由1】経団連によるジョブ型雇用への移行推進(国際競争力低下防止)

経団連会長によるジョブ型雇用推進の流れは、コロナ以前の2018年から2019年に起きています。その理由として従来型のメンバーシップ型雇用の限界です。経団連側の意向としては、以下の理由もあります。

  • 業務と報酬を明確にして、優秀な若手社員を採用したい
  • 成果の低い中高年齢層の解雇・賃金低下・処遇変更を可能にしたい(年功序列賃金制度を変革したい)
※経団連とは、「日本経済団体連合会」の略称です。経団連の大きな役割は、企業と個人・地域の活力を引き出し、「日本の経済を元気にすること」を使命としています。現在日本の代表的な企業1,444社と業種別全国団体109団体、地方別経済団体47団体などから構成されています。

【理由2】新型コロナウイルス感染症の影響(リモートワークに適した働き方)

コロナウイルスの影響によって、外出規制が行われたため在宅ワークが急速に浸透しました。しかし、在宅ワークでは勤怠管理や生産性の管理をすることができないため、解決策としてジョブ型雇用が注目を浴びています。
さらにコロナウイルスによって、企業ではリストラや早期退職などが行われました。限られた人材で生産を向上するために、専門性の高い人材が求められていることも理由のひとつです。

【理由3】大企業のジョブ型雇用導入により関心が高まった

2021年の企業実態調査によると、導入予定(検討)・導入の企業は57.6%でした。
※パーソナル総合研究所【ジョブ型人事制度に関する企業自体調査

その背景として、2020年の働き方改革によって、同一労働同一賃金が進められました。その中で、メンバーシップ型の維持が難しくなっていることも大企業が導入を進める理由のひとつです。
少子高齢化にともない労働人口の減少も日本の労働環境問題があります。スキルを持っている人がさまざまな事情により、働きたくても働けないというケースは多く存在するでしょう。そのような人材を生かすために企業は、業務を切り分け専門性の高いジョブ型雇用で採用を進めています。在宅ワークや時短勤務などを提示することで、優秀な人材を確保しやすくなるためです。

上記の3つの理由からジョブ型雇用が注目されていることがうかがえます。

ジョブ型雇用における企業のメリット

メリットデメリット ジョブ型雇用における企業のメリットは大きく2つあります。

1.専門的なスキルを持つ人材を採用できる

ジョブ型雇用では、職務記述書に職務内容を明記して求人を行うため、企業側が求める人材を採用することができます。採用時のミスマッチを防ぐことも可能です。
高いスキル人材が組織に集まることにより、気づきや学びが多くなることで、職場の人材活性化となるでしょう。

2.生産性向上が見込める

ジョブ型雇用は、仕事の成果や遂行能力で評価を行うため、生産性向上につながります。従業員にとっても、職務内容や目標が明確であるため、パフォーマンス向上が期待できるでしょう。

企業にとってジョブ型雇用のメリットは、優秀な人材を確保することにより、生産性向上や新たな事業拡大が促進されることでしょう。
次にデメリットも紹介します。メリット・デメリットの両面を理解することが、ジョブ型雇用導入のカギとなるでしょう。

ジョブ型雇用における企業のデメリット

ジョブ型雇用における企業のデメリットは次の2つです。

会社都合の異動を促せない

ジョブ型雇用では、勤務地や仕事内容を雇用の段階で明確にしているため、会社都合での異動を促すことができません。
例えば、急な欠員が出た場合、メンバーシップ型雇用であれば社内異動として迅速な対応が可能です。しかしジョブ型雇用では、新たな人材を探さなければならないので手間や時間がかかります。

転職の流動性が高い

ジョブ型雇用で採用された人材は、より良い条件の職場に転職する傾向があります。会社よりも仕事内容やスキルに基準をおいた働き方であるため、転職に対しても積極的にとらえているからです。

ジョブ型雇用のデメリットを解消するには、採用する人材の価値観や希望に対応する取り組みが必要でしょう。

ジョブ型雇用導入の3ステップ

3ステップ ジョブ型雇用を導入するには、どういった手順で行えばよいのかを紹介します。

ステップ①対象の職種や役割を決める

「どんな職務内容や範囲でジョブ型雇用にするのか」を慎重に判断する必要があります。さらに次の2つの点にも注意を払いましょう。

  • 企業内で人材不足の職務はなにか
  • 求めるスキルを有する人材が労働市場にいるか(余っているか)
日本の労働市場は、専門性の高い人材は少ない傾向にあるため、労働市場をリサーチすることも大切です。せっかく手間や時間をかけても探している人材がいなかったというケースは避けたいところでしょう。

ステップ②職務記述書(ジョブディスクリプション)を作成する

ジョブ型雇用で最も重要なポイントとなるのが、職務記述書(ジョブディスクリプション)作成です。
職務記述書とは、職務内容を詳しく記述した書類のことです。具体的には以下の諸条件が記載されています。

  • 職務内容
  • 目的
  • 責任の範囲
  • 必要なスキルや経験
  • 労働時間
  • 勤務形態
ジョブ型雇用においては、職務記述書が採用時も採用後も重要な役割を担います。職務記述書の存在が採用のミスマッチを防ぎ、従業員に対して公正な評価を与えることができます。

ステップ③評価制度や基準を作成する

ジョブ型雇用に適した公平な評価基準を構築しましょう。具体的には次の点に着目して作成する必要があります。

  • 採用する指標自体が公平な評価に適しているか
  • 評価基準を意識した目標設定ができているか
  • 客観的な分析ができているか
  • フィードバックが可能か待遇面で不公平感が出ていないか
特に、ジャブ型雇用と従来型のメンバーシップ型雇用が混在する場合は、3つのステップを丁寧に行う必要があります。メンバーシップ型雇用とは異なる点やメリット・デメリットを振り返りながら、導入準備を整えましょう。

ジョブ型雇用導入企業の事例

事例

これまでの雇用制度と対照的であるジョブ型雇用は、導入を躊躇してしまうかもしれません。すでにジョブ型雇用を導入している2社を紹介します。ジョブ型雇用導入の参考にお役立てください。

株式会社日立製作所

(株)日立製作所は、全従業員を対象とする人事制度の見直しとして、ジョブ雇用に大転換しています。対象を全社員に設定することにより、会社の成長を目指す狙いがあります。職務記述書は合計300~400種類ほどあり、さまざまな専門性を持つ人材が集まることから大きな変革を生み出すでしょう。
またジョブ型雇用移行にともなって、人材育成・処遇制度などの職場環境整備である健康経営にも積極的に取り組んでいます。参考:株式会社日立製作所【ジョブ型人材マネジメントの実現に向けた2021年度採用計画】

カゴメ株式会社

カゴメ(株)では、管理職に特化したジョブ型雇用を導入しています。職能資格制度から職務等級制度への変更を行いました。
仕事の中身が評価されるジョブ型雇用により個々のパフォーマンスが向上し、会社の成長につながると考えたためです。
非管理職にはジョブ型雇用に特化せず、スキルの幅を広げる目的から従来型の雇用制度を維持しています。参考:カゴメ株式会社【雇用維持と多様な働き方の尊重】

ジョブ型雇用を導入する際は、自社の現状と照らし合わせながらさまざまな他社事例を参考にするとよいでしょう。

ジョブ型雇用が向いている企業・向かない企業

雇用システムの歯車 「ジョブ型雇用は自社に向いているかどうか」を知りたい方もいるのではないでしょうか。

ジョブ型雇用が向いている企業

  • 業務に専門性を持たせて切り離すことができる企業
  • 専門的な業務が安定的に存在する企業

ジョブ型雇用が向いていない企業

  • 会社を大きくしていく段階の企業
  • 1人がいくつもの業務を兼務しなくてはいけない企業
企業規模にかかわらず、専門性の高い人材がいればさらに成長が見込めると言えるでしょう。特にIT化や技術革新が起こる中で専門知識を持った優秀な人材は企業価値を高めることに大きく貢献するでしょう。
専門スキルが必要な職種はジョブ型雇用、いくつも業務をこなしてもらいたい場合は従来型雇用にするといった柔軟な採用の仕方も必要な時代かもしれません。自社の業務を精査したうえで採用を行っていくことが重要でしょう。

雇用制度の新たな選択肢としてジョブ雇用制度を理解しよう!

今回は、ジョブ型雇用の特徴やメリット・デメリットを解説しました。従来の雇用制度と対照的であるジョブ型雇用の導入に躊躇する気持ちも理解できます。しかし終身雇用から成果主義に変わりつつある現代においては、新しい雇用制度として把握する必要があるでしょう。
自社のビジョンや課題を振り返り、「どのような雇用が最適か」について考えるきっかけとなれば幸いです。

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