• 健康経営
  • 2020.10.14 (最終更新日:2022.03.26)

協会けんぽ熊本支部の健康づくり活動

目次

協会けんぽ熊本支部が本気で取り組む「健康」

協会けんぽの中でも熊本支部はもともと他の支部に比べて保険料率が高いという問題点を抱えていました。地域によって保険料率に違いがあることを知らない人が多い中、熊本は全国で4番目に高い地域ということを多くの人に知ってもらい、健康に目を向けてもらう必要がありました。

保険料率は、九州の支部が全体的に高いという傾向もあるのですが、熊本県は人口透析を行っている人が多いということもあり、支えなければいけない人たちが多く自然と保険料率が上がっていってしまったのです。

全国平均値よりも保険料率が高い熊本県にある企業にとっては、この保険料率の高さが企業の重い負担となっているところもあり、協会けんぽ熊本支部は何とかしようと立ち上がりました。

別の記事でも書いていますが、協会けんぽにはインセンティブ制度が導入されているので、「健康」に対して本気で取り組むことで保険料を下げることができるようになりました。

それでは熊本支部がどのような健康づくりの活動を行っているのかをご紹介しましょう

熊本支部では様々な健康づくりの活動を行っている

ロボリーマン 熊本支部では様々な健康づくり活動を行っています。例えば「健康」に取り組んでくれている企業に対して、アドバイスをするロボリーマン。生活習慣病を見直すためのアドバイスや、運動、食事、ストレッチなど様々な角度から健康になれるように補佐しています。

また、県民の健康づくり推進のため、医療関係団体、熊本大学、熊本県社会保険労務士会と協定を組んだりもしています。
その他にも、県や市、保険会社、銀行などとも手を組んでおり、多方面で健康づくり活動をしている企業に対してできることを増やす動きをしています。

企業と一緒に健康づくり活動をしてくれる人たちと手を組んで、熊本の地域全体で「健康」への意識を高めようとしています。

ヘルスター健康宣言とは

ヘルスター計画 熊本支部での健康づくり活動の大きな特徴は二つあるのですが、その一つがヘルスター健康宣言です。

ヘルスター健康宣言とは、健康経営をこれから行っていくという意思表示のためのものです。
まずはエントリーシートに記述をし、FAXで提出。その後、エントリーシートの内容を確認した協会けんぽ熊本支部からヘルスター健康宣言証が届きます。その宣言証を掲示した状態で、健康経営を進めていくと言うものです。

このエントリーシートにはチェック項目がいくつかあります。
必須項目
  • 法令に従い全従業員が健診を受診します
  • 従業員の健康課題を把握し必要な対策を講じます

任意項目
  • 運動の習慣づけを推奨します
  • バランスの良い食習慣を推奨します
  • 禁煙や受動喫煙防止に取り組みます
  • 歯と口腔ケアを推奨します
  • 過重労働防止に取り組みます
  • メンタルヘルス対策を講じます

このうち必須項目には必ずチェックを付け、任意項目はいくつでもチェックをすることができます。

ヘルスター健康宣言をすると、特典もあります。西日本シティ銀行の3大疾病特約付き住宅ローン金利の優遇も受けられるようになるため、健康を目指しながら低金利で家を買うことができるようになります。

さらに、ヘルスター健康宣言をすると、経済産業省の「健康経営優良法人」に応募ができたり、協会けんぽ熊本支部の「ヘルスター認定制度」に応募することができます。

熊本支部のヘルスター認定制度は、健康宣言をした事業所の中から、熊本支部が独自に策定した基準に基づいて、一つ星から三つ星で認定するというものです。認定は2年に1度が原則です。最も優秀な三つ星認定を受けた事業所は県知事との連名で認定されます。

さらに三つ星認定されると、協会けんぽのホームページ他各種広報媒体に無償で掲載され、世間に健康経営に取り組んでいる企業としてのイメージを高めることもできます。

データヘルス計画とは

データヘルス計画 熊本支部で行っていることのもう一つの大きな特徴が、「データヘルス計画」です。熊本支部加入者の健康状態を把握し、健康づくり事業を計画実施、そして振り返りを検証して、再度計画を実施していくというものです。

そのために、協会けんぽ熊本支部に加入している事業所からは、「健診結果」、「医療情報(レセプト)」を分析し、結果から分かったことは、
  • 全国平均より空腹時の血糖値が高い(男女共通) ・7割近くが入院外で医療費を使っている
  • 入院外の医療費のうち上位を占めているのは糖尿病と腎不全(これらは人工透析に繋がりやすい)
  • 年度を追うごとに、新規の透析患者数が増加している
ということです。

そこで加入者に対して食生活や運動習慣の改善など生活習慣病に関する対策を取っています。こうしたPDCAを繰り返し、熊本支部では持続的に健康面の見直しを行っています。

地元企業が連携した健康づくり「くまもと健康企業会」を発足

くまもと健康企業会 令和2年8月、健康経営を実践している事業所様の連携強化を目的に、「くまもと健康企業会」を発足しました。これは、ヘルスター健康宣言をしている企業が集まるというもの。協会けんぽ内でこういったことを行ったのは、熊本支部が初めてです。

くまもと健康企業会を発足させた背景には、ヘルスター健康宣言を実施しているものの、健康経営をどうやって持続させていけばいいのかわからないといった声や、他社で成功した例を知りたいという声が熊本支部に集まったことがあります。

「くまもと健康企業会」には、“熊本を健康な街にしたい”、“社員の健康を守りたい”との想いが強い約40社が参画。同月3日に開催した定例会では健康経営に先進的に取り組む企業による健康経営の取り組み事例発表がありました。

これまでの資本主義の経営では、他社はライバルという意識が強くありましたが、協力して一緒に健康経営をしていくという新しいスタイルが確立した瞬間でもあります。

くまもと健康企業会では今後、グループワークやセミナーを行い、さらなる結束を強めていくそうです。

まとめ

協会けんぽは健康保険を取り扱っている組織という認識しかない方もいたかもしれませんが、熊本支部ではその枠を超えた取り組みを行っています。

健康保険は保険料を支払って医療費を安くしてくれるだけのものではなく、私たちと一緒に健康について考えてくれるところになりつつあります。少子高齢化により今後の国民医療費の増加は避けられません。しかし加入者一人ひとりが健康について考えるようになると、医療費の増え幅を抑えることができます。

世界に誇れる国民皆保険制度を次世代に残すためにも、これからは医療費や保険料が高い、安いというところを見る前に、まずは自分自身が健康についてどれだけ考えているのかということに注目していく時代に入ってきています。そして、健康について考えるようになったときに、補佐できるような仕組みを、協会けんぽ熊本支部はすでにそろえつつあるのです。

事業所単位で健康経営を本格的に行おうとするなら、熊本支部の地域の人たちは手助けをしてくれる組織があるということも知っておきましょう。健康経営は一人で行うものではなく、みんなで行っていくものという考えをもって、一過性のものではなく持続的にみんなで健康になっていきましょう。

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