• 健康経営
  • 2022.08.29

食生活の改善が健康経営につながる!福利厚生でできる食事改善や導入方法について解説

調理する男女
目次
福利厚生の中でも人気の高いものの一つに、食事補助があります。

この食事補助を活用し、社員の健康増進や健康経営における食生活の改善に取り組んでいる企業が見られています。従業員の食生活や健康習慣が良いものになれば、企業としてはパフォーマンス向上や保険料負担の軽減が見込めるかもしれません。

食生活改善は健康経営の中でも取り組みにくい分野ですが、先行事例を参考にしながら自社で取り組める要素を考えていきましょう。

食生活と健康の関係は?

野菜とハート

食生活改善は、生活習慣病予防に繋がる

生活習慣病とは、食事や運動、休養、喫煙、飲酒などの生活習慣が深く関与し、それらが発症の要因となる疾患の総称です。日本人の死因の上位を占める、がんや心臓病、糖尿病や脳卒中は、生活習慣病に含まれます。

その中で特に食習慣が疾患の発症と関係しているものに

  • 糖尿病
  • 肥満
  • 高脂血症(家族性のものを除く)
  • 高尿酸血症
  • 心臓病(循環器病)
  • 大腸がん
  • 歯周病等

などは食生活とのかかわりが密接だと言われています。これらの疾患による受診料負担や長期欠勤などの予防を含めて、従業員・事業者ともに健康増進に取り組んでいく必要があります。

参考サイト:eヘルスネット

特定保健指導では栄養指導や生活指導が行われる

特定保健指導は、二次健康診断の結果に基づきメタボリックシンドロームのリスクが高い方に、脳・心臓疾患の発症の予防を図るため、医師または保健師の面接により行われる保健指導のことです。具体的には

  1. 栄養指導
  2. 運動指導
  3. 生活指導

の3つが行われます。普段から会社で食生活に気を付けておくことや、企業が食生活や影響について発信していくことで、従業員の健康増進に繋がることが考えられます。

参考サイト:全国健康保険協会HP

福利厚生で食生活を改善できる?

スーツで食事する男性

各世代での食事摂取の課題とは

食事や栄養に関する課題は、世代によって違いがあることが報告されています。

若い世代での課題として挙がっているのが「朝食の欠食」です。
男女とも20歳代で最も高く、約3割となっていまう。さらに20歳代の一人世帯に限った朝食の欠食率は男性で約7割、女性で約3割だと報告されています。

20代の単身男性では半数を大きく超える方が朝食を取っていないという報告です。
朝食は午前中の血糖値を担保し仕事のパフォーマンス向上に寄与することや、日中消費カロリーの観点から肥満防止に繋がること等健康面でも重要だと考えられています。

参考資料:厚生労働省資料

中高年では、仕事の量や責任増加など多忙な生活の中で課題として挙がるのが「食生活の乱れ」です。

外食が増えると脂質や食塩の過剰摂取・栄養の偏りが生じやすくなります。プラスして運動不足やストレスが重なると、生活習慣病などを発症しやすくなります。そのため栄養バランスなどを考慮した食習慣の見直しが重要です。

参考記事:雪印メグミルク

また昼食によく選択されるコンビニ食ですが、以前よりコンビニ食での栄養不足やバランス不良(コンビニ弁当は脂肪エネルギー比率が高く、野菜の量が少ない)も指摘されています。そういった点からも、食に対するサポートは重要な課題だと考えられます。

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食事補助サービスを導入した健康経営の成功事例5選

バイキングを楽しむ女性

食事(弁当)配送サービスによる好事例

1つ目が食事弁当配送サービスによって健康経営を達成した味の素株式会社の事例です。

味の素株式会社東京支社には食堂設備がなく、外食やコンビニなどランチの選択肢が限られていました。時間的な制約もあり、勤務するオフィスの毎日の食事を改善したかったということが導入目的でした。

導入の結果、アンケートでは「栄養のことを考えるようになった」と回答した人が増加し、お腹が空いたから食べようという考えから、栄養バランスを意識して食べようという発想への変化を感じたそうです。

弁当配送サービスは基本は電話やネットで注文しお店まで弁当を届けるというものですが、 最近ではオフィスに 冷凍庫や電子レンジを設置することで届けてくれるものもあります。

メリット:

設備投資不要で始めやすい

デメリット:

日々の集計が大変・時間帯が限られ朝食提供などは難しい・エリアが限られる場合がある

サービス提供企業:オフィスおかん 等
提供事例:味の素(オフィスおかん利用)

福利厚生代行サービス

2つ目の福利代行サービスは、全国のカフェ、ファストフード、ファミリーレストランなどを法人割引でお得に利用できるサービスです。

多くの企業で導入されていますが、その中で健康的な食事を選ぶかは従業員の好みになるため食生活改善に直接的に繋がるかは難しい所です。福利厚生代行サービスではその他の運動系のサービスも活用可能なため、それだと組み合わせて生活習慣の改善につなげていくと良いでしょう。

メリット:

全ての従業員に格差がなく平等・導入が容易

デメリット:

健康や食生活改善に直接繋がるかが不透明

提供企業:株式会社リロクラブ

チケットサービスの好事例

チケットサービスでは 食事券やプリペイドカードなどを従業員に配布するものになります。チケットサービス利用での好事例として、株式会社なゆたネットでは、チケットサービスの利用によって、昼食をとらなかった従業員がサービス導入をきっかけに食習慣を変えたと言う事例が見られたそうです。

昼食の欠食は栄養上の問題や仕事のパフォーマンス低下などが起こる可能性があるため、サービス導入がきっかけになった好事例と言えます。

メリット:

全ての従業員に格差がなく平等・導入が容易

デメリット:

健康や食生活改善に直接繋がるかが不透明

提供企業:チケットレストラン
導入企業:株式会社なゆたネット(チケットレストラン利用)

社員食堂設置の好事例

最も大掛かりな設備投資等が必要ですが、社員食堂を設置し、そこで健康的なメニューを提供することは継続的に従業員の食生活改善に寄与できることが考えられます。
社員食堂の好事例では食生活改善と共に残業時間減も達成できた事例です。

株式会社日比野設計では、近隣に飲食施設が乏しいことに加え、深夜に及ぶ長時間労働の常態化を改善する目的で、一般にも開放する“レストラン”を設置し、朝食と昼食を提供しました。

レストラン開設前は深夜0時以降まで残っているのが常態でしたが、朝食提供後は20~21時くらいに帰る社員が多くなり、1人当たりの労働時間が平均2時間程度は短くなりました。総労働時間は減っているにもかかわらず、売上高は増加し、生産性が向上しました。

社員アンケートでは、朝食について「朝早く起きるようになった」、「午前中の集中力が上がった」と社員からの評価は非常に良好なようです。異なる部署の社員が隣り合わせや対面で共食を楽しむことも多く、所属部署を超えたコミュニケーションに繋がっている面もあるとのことでさまざまなメリットがあったようです。

ここまで劇的な効果が出たのは、自社で行う社員食堂を作ったからこそだと思います。

メリット:

栄養バランスを考慮したメニューが提供できる・出来立ての料理が食べれて満足度が高い・部署を超えたコミュニケーションの活性化も期待できる

デメリット:

設備投資が必要・食堂運営にもコストがかかる

紹介企業:日比野設計

給食業務アウトソーシングの好事例

上記の社員食堂は自社のサービスとして行う必要がありますが、 それとは別に社員食堂の業務をアウトソーシングするというものもあります。社員食堂のメニューやコンセプト設計、献立作りや調理、運営にいたるまで、委託業者にお任せするスタイルです。委託できる範囲は業者によって異なります。自社で別部門として給食部門を用意するのが難しい場合でも、出来立てのメニューや栄養バランスの取れた食事を提供することが可能です。

導入されている敷島製パン株式会社 パスコウエストカンパニーでは給食会社との話し合いにより、社員が自ら量を調整して食べられるシステムに変更し、メニューのバリエーションも増やしていただいた事で社員のニーズに合った食事が提供されているようです。

提供分を無理して食べ過ぎるのも栄養面で問題がありますし、残すことは環境面の問題があるため、そういったきめ細やかな配慮は外部サービスならではかもしれません。

メリット:

栄養バランスを考慮したメニューが提供できる・出来立ての料理が食べれて満足度が高い・部署を超えたコミュニケーションの活性化も期待できる

デメリット:

設備投資が必要・コストが割高

提供企業:名阪食品
事例企業:敷島製パン株式会社 パスコウエストカンパニー

健康経営につながる食事補助サービスの導入方法

ランチミーティングをするビジネスマン

食事補助の導入手順

食事補助を導入する場合はまず、上記のどのタイプの食事補助を導入するかを決定する必要があります。

各タイプにそれぞれメリット・デメリットがあるためそれらを比較し、福利厚生に含まれるための条件なども加味して検討する必要があります。タイプを決めた後は、「この食事補助は食生活面の改善に生かして欲しい」という旨をなんらかの形で伝えることが重要です。

その理由としてチケットサービスや福利厚生代行サービスでは、社員が利用する店や食事内容を決定できるため、食生活改善に繋がりにくいことも考えられます。社内報やセミナーを行うなど、食生活に関する発信を行いながら、食事補助がきちんと食生活改善に繋がるようにサポートしていきましょう。

また定期的にアンケートや健康診断の結果等も踏まえて、食生活や健康に関するイベントなどを開催するのもよいでしょう。

注意点・非課税でおこなうために

注意点として、役員や従業員に支給する食事は、次の2つの要件をどちらも満たしていれば、給与として課税されません

(1)役員や従業員が食事の価額の半分以上を負担していること。

(2)次の金額が1か月当たり3,500円(消費税および地方消費税の額を除きます。)以下であること。

(食事の価額)-(役員や使用人が負担している金額)

この要件を満たしていなければ、食事の価額から役員や従業員の負担している金額を控除した残額が給与として課税されます。
※食事の価格とは

  1. 弁当などを取り寄せて支給している場合には、業者に支払う金額
  2. 社員食堂などで会社が作った食事を支給している場合には、食事の材料費や調味料など食事を作るために直接かかった費用の合計額を指します。
    (参考サイト:国税局HP

上記を踏まえて、目的にあった食事補助を構築して食事面からの健康経営推進に努めましょう。

福利厚生での食生活改善は中身と形態を考慮して取り組みましょう。

ランチを食べるビジネスマン

仕事のパフォーマンスや従業員満足度にも関係しやすい食事補助。しかし、健康面を考慮するためにはサービスの中身や形態を自社の課題や食事面の課題に当てはめて考えることが重要です。

従業員の食生活の課題がどういった部分にあるか、現状どのような食事の形態や内容を取っているのか、どのようなサービスであれば利用されやすいを明確にして、どのサービスを導入するかまたは自社で行うかを決定していきましょう。

また実施施策の効果判定も重要です。毎年の健康診断や食生活に関するアンケートなども実施し、PDCAサイクルを回してよりよい活動になるよう努めていきましょう。

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