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  • 2021.01.25 (最終更新日:2022.03.26)

健康経営優良法人2021で増えた顕彰制度とは

目次

変わってゆく健康経営優良法人

健康経営はまだまだ「これをやっていれば完璧」というガイドラインがないものです。もちろん、健康経営をいち早く取り入れてきた企業の中には、自社にあった健康経営の方法を見つけ始めているところはありますが、それが本当に正解かというところまでは確かではありません。なぜなら、「健康」というものは、2、3年ではっきりとした効果を検証できるものではないからです。

10年、20年たった時に、健康経営を行っていた企業に勤めていた従業員が65歳を過ぎたときに病気になる確率が減ったという効果が発表できるようになるかもしれませんが、まだまだそれは先の話です。

とはいえ、健康経営を始めた企業に勤める従業員に、短いスパンであっても変化が出てきているのも事実です。その変化が、10年、20年たった時に、大きな変化となり、日本が抱えている高齢化社会への救いの一手へと変貌している可能性はあります。

ですが、10年、20年先を見越したことではなく、現時点で健康経営を行うことによってメリットがあるということを示し、健康経営を行う企業を増やしていきたいというのも国の考えの一つです。

今回はそのメリットである顕彰制度と、健康経営優良法人2021から新しく増えた顕彰制度について説明をいたします。

健康経営優良法人2021から増えた「ブライト500」とは

ブライト500 健康経営優良法人2021から「ブライト500」というものが新設されました。これは大規模法人における「ホワイト500」と同じものが、中小規模法人における「ブライト500」という位置づけです。設立の目的としては、中小規模法人の健康経営の普及をさらに拡大化させるために、ブライト500ができました。

これまで健康経営優良法人(中小規模法人)に認知するには、制度・施策実行と評価・改善の15項目のうち7項目(今年からは必須項目が増えたため6項目が最低基準となっています)ができていることが最低限の指数でした。そうすると、7項目で実施している企業も、15項目すべてを実施している企業も同じ扱いになっており、健康経営の認定が取れた後はとりあえず現状維持でという企業も中にはあった状態です。ですがそれでは、本当に健康経営を行っているのかというと疑問が残ります。

そこで健康経営優良法人2021からは、健康経営をさらに努力して取り組んでいる企業をたたえるためと、顕彰制度の拡充を図るために「ブライト500」ができたのです。

「ブライト500」に認定されるためには、通常の健康経営優良法人(中小規模法人)よりもハードルが上がります。それが「健康経営の評価項目12項目以上適合(12項目以上に対し1項目ごとに加点)」ということです。他にも、「健康経営の取り組みに関する自社からの発信状況(自社HPへの掲載)」や「健康経営の取り組みに関する外部からの発信依頼を受けての発信状況(取材、講演会の対応等)」があります。
この3点をもって、上位500法人を算出し、ブライト500が認定されるのです。

国は「ブライト500」を作ったことによって、中小規模法人の健康経営がより一層強固なものになっていくことを期待しています。

大規模法人にだけある「健康経営銘柄」とは

大規模法人 健康経営優良法人2021における新しくできた顕彰制度は、ブライト500だけでしたが、大規模法人にも健康経営優良法人の顕彰制度は2種類あります。あらためてその内容を紹介します。

顕彰制度「健康経営銘柄」と「ホワイト500」を混同して考えている企業もあるのですが、この二つは全く別のものです。大規模法人の健康経営優良法人のピラミッドがあるとすれば、一番上にあるのがこの「健康経営銘柄」。

健康経営銘柄はホワイト500や通常の健康経営優良法人(大規模法人部門)とは選定・認定フローが途中から違っています。健康経営銘柄は東京証券取引所もかかわってくるためです。

流れとしては、健康経営度調査の実施によって、経済産業省が実施する、従業員の健康管理に関する取り組みや、その成果を把握するための「従業員の健康に関する取り組みについての調査」通称「健康経営度調査」に回答するところから始まります。その回答結果をもとに、健康経営優良法人(大規模法人部門)の認定基準に適合しているかの判定を受けます。ここまでは、ホワイト500、健康経営優良法人(大規模法人部門)と同じですが、この先が違います。

健康経営銘柄は狭き門となっているため、まずは健康経営度が上位20パーセントの上場企業を候補として選定します。その後、東京証券取引所で、財務指標スクリーニングを実施。そしてようやく、経済産業省と東京証券取引所が共同で選定するというのが流れです。

健康経営銘柄に選ばれるのは、定められている33業種の中で1業種1企業のみです。つまり最大で33企業しか選ばれません。ただし、業種の中に選定基準を満たしている企業がない場合は、その業種からの選定は行われないとしています。繰り上げという考え方がないというわけです。

1業種1企業という狭き門のため、選ばれた企業はその業種の代表として、さらに健康経営の普及を行うようになりますし、選ばれなかった企業は次こそは選ばれるようにとさらに健康経営の実施を増やしていくことになるため、とても効果のある顕彰制度となっています。

当初とは変わってきた「ホワイト500」

ホワイト500 健康経営優良法人(大規模法人部門)には、顕彰制度として「ホワイト500」があります。これは通常の健康経営優良法人(大規模法人部門)よりも認定されるのが難しくなっているものです。

通常の健康経営優良法人(大規模法人部門)では、制度・施策実行と経営理念の15項目のうち12項目をクリアしていないといけませんが、ホワイト500では経営理念の個所が必須となっており、14項目中12項目をクリアしていないといけないとしています。

ただ「ホワイト500」が設立された当初は、「500」という数字がついていても、上位500企業だけが認定されているわけではありません。ホワイト500の選定基準を満たしている企業はすべて「ホワイト500」として認定されていたので、実際に認定されている企業の数は500以上でした。

ですが、健康経営優良法人2020からはホワイト500は健康経営優良法人(大規模法人部門
)に認定されている上位500社となり、よりホワイト500の価値が上がりました。

また健康経営銘柄とホワイト500の両方を取得することも可能ですので、両方ともに認定されている企業もあり、健康経営の一人者として世の中に普及拡大をしていくトップランナーの一員としての役割も求められています。

健康経営優良法人に新しく求められているもの

コロナウイルス 大規模法人、中小規模法人の顕彰制度について説明してきましたが、健康経営にはさらに求められるものが増えてきています。それは2020年に世の中の動きを変えた新型コロナウイルスです。

健康経営優良法人の認定要件の中には「従業員の感染症予防に向けた取り組み」という項目が入っています。これはもともとインフルエンザやノロウイルスを想定して作られた項目でしたが、新型コロナウイルスもこの項目に該当するものです。特に健康経営優良法人2021では、2020年の企業の対策も評価対象として挙げられています。

大規模法人部門では、具体的な施策をとったかではなく企業として組織体制を整え計画的に取り組んだかどうか。
中小規模法人部門では、大規模法人とは逆に新型コロナウイルス感染症への具体的な施策をとったかどうか。

という点において、評価の対象となっています。来年度の健康経営優良法人2022においても、新型コロナウイルス感染症への対策については、より重要な項目として挙げられることになるでしょう。

これからの感染症対策の一つとしては、リモートワークも対策の一つとして挙げられますが、リモートワークを行う際には他の健康被害を及ぼす可能性があるため、従業員のメンタルケアなどについても一緒に考える必要があります。

ただ健康経営をしている企業は、健康経営をしていなかった企業と比べると、リモートワークを行っても従業員の士気がそれほど落ちず、メンタル面でも不調を訴える人が少なかったという統計も出ています。

これから先も変わっていくであろう健康経営の形

健康経営優良法人は2017年から認定を行うようになり、顕彰制度も充実させてきていますが、年々その内容は変わってきています。

顕彰制度でいうと、今回上げたような「健康経営銘柄」「ホワイト500」「ブライト500」「健康経営優良法人(大規模法人部門)」「健康経営優良法人(中小規模法人部門)」とありますが、それ以外にもあります。

地方自治体による表彰・認定などもどんどんと広がってきています。都道府県による顕彰制度を設けているところもあれば、市や区で顕彰制度を行っている地域も増えてきているため、健康経営を行うメリットが拡充していているのです。これは、この先もまだまだ増える見通しです。

その他にも、都市銀行や生命保険会社からの顕彰制度も作られており、健康経営を始める前に、自社のある土地にはどれだけの顕彰制度があるのかを調べてみるのもいいかもしれません。

もちろん健康経営を行うのは、顕彰制度があるからという動機ではなく、自社の社員の健康を一番に考えることが大事です。自社の社員が健康的に仕事ができるようになってくると、他の企業とのつながりも強固になっていきますので、まだ健康経営を行っていない企業の経営者の方は、「健康」が特に注目を浴びている今こそ健康経営を検討してみてはいかがでしょうか。

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