• 健康経営
  • 2022.09.28

デジタル人材とは?採用から定着までのDX成功戦略を解説

手を繋ぐAIと人間
目次

経済産業省がDX推進する中、多くの企業がデジタルテクノロジーの導入・活用を注視しています。しかし、最先端のデジタルテクノロジーを導入するには、デジタルスキルを持った人材が不可欠です。

今回は、デジタル人材のスキル・採用・定着方法などをお伝えしていきます。デジタル人材を採用したいと考えている方は参考にしてください。

デジタル化導入や活用に必要なデジタル人材とは?

デジタル

デジタル人材とはどういう人のことを指すのかを解説します。

デジタル人材とは?

デジタル人材とは、以下のような最先端のテクノロジーに精通したスキルをもった人材のことを言います。

  • AI(人口知能)
  • IoT(物をインタネットに接続する)
  • PRA(ロボットによる業務自動化)
  • 5G(5世代目の移動通信システム)
  • 3Dプリンティング(3次元のデジタル表現に基づき印刷する製造方法)
デジタル人材は、最先端の技術を駆使し、企業や顧客に対して価値提供ができる人材です。高いITスキルを持つだけでなく、ニーズを読み取る力も求められます。ただデジタル人材という言葉に明確な定義はありません。

DXとは?定義や重要性

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、「デジタル技術の浸透が人々の生活をあらゆる面で良い方向に変化させる」という考え方を起源とする概念です。スウェーデン・ウメオ大学のエリック・ストルターマン教授によって提唱したとされています。

DXは「Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)」の略称です。「DT」ではなく「DX」と表記されるのは、英語圏では「Transformation」を「X」と略すことが一般的なためです。
経済産業省では以下のようにDXを定義しています。

「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」
引用:経済産業省【デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン】

新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、日本企業のDX導入が加速し、その必要性を多くの企業が認識しています。
企業がDXに取り組むべき理由は、次の2つです。

  1. デジタル化によるビジネスのニーズの多様化【ビジネスの転換期】
  2. 消費者の価値観の変化【モノ消費からコト消費へ】
さらにDX推進における次のような課題も抱えている状況です。

✅ DXの理解が足りない(具体的な方法が分からない)
✅デジタル人材の不足(システムに精通した人やプロジェクトマネジメントができる人の不足)

課題を解決するために、デジタル人材が必須となってくるでしょう。

デジタル人材は、ハード面とソフト面のスキルが必要

スキル デジタル人材の職業として代表的なものは、次の通りです。

  • データアナリスト
  • プログラマー
  • エンジニア
  • システムアーキテクト

具体的にどんなスキルを持った人を指すのでしょうか。ハードスキルとソフトスキルに分けて紹介します。

ハードスキル

ハードスキルとは、技術的なデジタルに関する知識や能力です。最先端の技術を使いこなし、さらに日々進化する技術を磨き続ける必要があります。

【IT基礎知識】
Webアプリケーション・AI・IoT・3D技術などの最新技術を活用するスキル

【データマネジメント】
データを適切に扱えるスキル

【UI・UX思考】
UI思考とは、製品やサービスとユーザーをつなぐ接点を指します。ユーザーに選んでもらうために、見た目や使いやすさを大切にする思考です。
UX思考とは、「製品・サービスを通じて得ることができる価値や体験」のことです。デジタル人材がUI・UX思考に注力することは、顧客満足度向上や売上向上につながります。

ソフトスキル

自社や顧客をデジタル技術によって変革を起こすために、プロジェクトマネージャーとしての役割もあります。デジタル技術を導入する際には、現場の意見や課題を把握し、解決に導いていかなければいけません。そのため、デジタル知識以外にも次のようなソフトスキルが欠かせません。

  • 仕事の進め方や考え方
  • コミュニケーション能力
  • 計画力
  • 論理的思考力
  • 課題解決能力
デジタル人材はITスキルが高いと言うイメージですが、ハード面とソフト面の両方のスキルを持ち合わせた人材です

デジタル人材とIT人材の違い

違い

デジタル人材と似た言葉IT人材がありますが、それぞれ意味が違います。

IT人材の定義

経済産業省は以下のように定義しています。
情報サービス業やITソフトウェア・サービスの提供事業に従事するひと
引用:経済産業省【IT人材需給に関する調査】

具体的なIT人材

  • 情報システム部門の従業員
  • Webサービスやアプリを開発するエンジニア
  • ITを活用した業務に携わる従業員

デジタル人材との違い

経済産業省は、デジタル人材の定義を明確にしていません。IT人材は業務内容がIT業務と限定しています。しかしデジタル人材は、業務内容が多様です。
IT人材が実行者であるのに対して、デジタル人材は「提供者」です。デジタル人材は、ツールの選定や導入フロー設計などを行い、企業に新しい価値を提供する人材と言えます。

デジタル人材を活用するメリット

デジタル化

デジタル人材を活用することで、アナログ化を脱し、会社全体の生産性向上を高めることができます。
具体的なメリットは次の通りです。

書類のペーパーレス化によるメリット

  • 印刷費・郵送費・保管費のコスト削減
  • 書類紛失や書き直し・承認者不在の対応の手間が省ける

AI・IoTによるデータ活用のメリット

  • 大量データを分析可能になる
  • データの蓄積の高度化
  • データのリアルタイム分析を実現
  • 人件費の削減

デジタル人材獲得に必要な採用戦術とは

採用戦術

優秀なデジタル人材の獲得は、現在過熱化しています。そのため、適切な採用戦略を知っておくことをおすすめします。

デジタル人材の獲得過熱化

デジタル人材は、市場の1割(引用①)ほどしかいません。そのため競争率・希少価値が高く、採用が難しいのがデジタル人材です。経済産業省の調査では、2030年に最大79万人が不足すると試算(引用②)されています。

引用①:NTTデータ研究所【デジタル人材定着に向けたアンケート調査】
引用②:経済産業省【人材需給に関する調査】

現在すべての業種でDX化が求められているため、デジタル人材の獲得競争はさらに激化するでしょう。

攻めの採用戦略が必要

これまでのような応募がくるまで待つような方法ではなく、戦略的な採用方法が必要です。優秀なデジタル人材は、転職活動をしなくても、多くの企業から声がかかります。そのため、デジタル人材にアプローチする多様な採用方法が大切です。 近年注目を集めている次のような採用方法を参考にしてはいかがでしょうか。

リファラル採用

リファラル採用とは、自社ですでに働いている社員の紹介を通じて人材を募集する方法です。紹介した社員にインセンティブを与えるケースもあります。

SNS採用

SNS採用とは、SNSを利用した採用方法のことです。次のようなSNS(ソーシャル・ネット・サービス)などが該当します。

  • Twitter
  • Facebook
  • YouTube
  • Instagram
  • LinkedIn

ダイレクトリクルーティング

ダイレクトリクルーティングとは、採用候補者へ企業が直接アプローチする採用方法です。

デジタル人材の7割は転職経験者【定着を高める戦略も重要】

ワークライフバランス

NTTデータ経営研究所の調査のよって、デジタル人材は、非デジタル人材に比べて転職率が高いことがわかっています。
引用:NTTデータ経営研究所【デジタル人材定着に向けたアンケート調査】

「デジタル人材は転職するのが当たり前」と認識してはいても、採用したデジタル人材が離職してしまっては、企業の損失です。では、デジタル人材を定着させるためにはどうすればよいでしょうか。

「仕事への満足度」を考えることが、定着のカギを握るでしょう。 デジタル人材・非デジタル人材にも共通して言えることですが、転職志向の高い人は現職への満足度が低いことが言えます。
調査結果では、デジタル人材が会社に求めていることが次のように分かっています。

  • 尊敬できる上司
  • 能力の高い社員の昇進
  • 頻繁なフィードバック
  • ハイスペックPC
  • 休暇取得奨励
さらに注目すべき結果は、ワークライフバランスが定着の重要なカギを握っていることです。

現在転職を考えていない人は、ワークライフバランスへの満足度が75%高い
✅転職意向のある人は、ワークライフバランスへの満足度は49%

上記結果から分かることは、ハードな働き方をさせてしまうと、人材定着には結びつかないということです。上昇志向で転職に積極的な人も、働き方が快適だと転職は考えない傾向であることが分かっています。

ワークライフバランスへの満足度を高めることは、デジタル人材獲得に重要な要素でしょう。そのために、働き方改革や健康経営などを積極的に推進することも視野に入れてみてはいかがでしょうか。

デジタル人材を育成する必要性

デジタル人材必要性 上昇志向の高いデジタル人材を定着させるために、「スキルアップできる環境である」と感じてもらうことで離職防止につながります。企業としてスキルアップを支援する取り組みが大切です。
具体的には、次のような取り組みがあります。

  • OJTによるスキルアップ
  • 責任のある立場を任せる
  • 定期的な社内研修や外部研修を活用
  • 最新技術の情報提供
  • オンライン研修サービスの受講推奨
  • 資格取得をサポート(資格手当など)

DX推進に向けた戦略には、デジタル人材の採用・定着・育成が重要です

最先端技術に精通したデジタル人材は、DX推進を加速させる重要な人材です。デジタル人材を獲得し、定着させることが、企業の競争優位性を保つことにつながります。そのためにデジタル人材の特性を捉えた戦略を行うことが、自社のDX成功の秘訣となるでしょう。

関連コラム

問い合わせ
各種取材やサービスに関することなど、
お気軽に問い合わせください。