• 健康経営アドバイザー
  • 2021.06.15 (最終更新日:2022.03.26)

健康経営を見える化する「評価制度」を分かりやすく解説

目次

健康経営で他社と差別化を図る「評価制度」

評価制度 現在、注目が高まっている健康経営の背景には、社会問題として長時間労働やブラック企業などがメディアに取り上げられるようになってきて健康経営の重要性は高まりつつあります。また働き方改革などの制度もあり健康経営に取り組む企業も年々増えてきている状況にあります。
いまや企業にとって健康経営は「企業のステータス」になるためさらに注目度があがっています。健康経営を取り組むのであれば他社との差別化を図れる「健康経評価制度」を視野入れて実践を行うことがが健康経営のメリットを最大化できてきます。健康経営を始めるにあたってさまざまな評価や認定制度がありますが、健康経営に取り組み始めた企業にとってはなじみのない言葉ばかりだと思います。本記事ではポイントをおさえて分かりやすく「健康経営の評価制度」について解説します。

健康経営に係る評価制度とは?

健康経営とは「従業員の健康こそが収益性の高い会社を作る」といった考え方から生まれた経営手法が健康経営です。健康経営に関わる支出を、将来的な発展や利益向上のための「投資」と考え、経営的視点で実践して企業収益を高めることが目的です。労働人口が減少する中で人材を安定的に確保するために「会社の戦力として働いてもらうためにいかに従業員に健康を持続してもらうか」が現在の健康経営への取り組みのニーズの高さとなっています。
年々認定企業数も増加する中で経済産業省や厚生労働省が優良な健康経営に取り組む法人を「見える化」し、従業員や求職者、関係企業や金融機関などから「従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に取り組んでいる企業」として社会的に評価を受けることができるさまざまな評価制度があります。

評価制度の紹介

現在健康経営における評価制度は以下の通りです。
  1. 健康経営銘柄
  2. 健康経営優良法人(ホワイト500・ブライト500)
  3. 安全衛生優良企業公表制度
  4. DBJ健康経営格付融資
  5. 健康寿命をのばそう!アワード
  6. 地域独自の施策
ひとつずつ簡単に解説します。

1.健康経営銘柄

経済産業省が設計した評価制度が「健康経営銘柄」です。東京証券取引所の上場企業の中から基準をクリアした企業が選出されます。
「健康経営銘柄」は1業種1社を基本としつつ選ばれます。(2018年より1業種1社の制限がなくなり基本としつつ選定されることとなりました)
健康経営度調査の結果において各業種で最も高い健康経営度の企業の平均を算出しその平均よりも高い健康経営度である企業を選出されています。いわば健康経営の最高位の広告塔です。
東京証券取引所の上場企業の中から健康経営に優れた企業が選定され長期的視点より企業価値の向上を重視する投資家にとって魅力ある企業として紹介されます。選定された企業は、経済産業省のホームページにて企業名と「健康経営銘柄選定企業紹介レポート」の中で具体的な取り組み内容が掲載されます。
令和2年3月、第6回となる「健康経営銘柄2020」の選定では30業種40社を選定。選定に用いる健康経営度調査には過去最高の2328法人からの回答がありました。実際この健康経営度調査に回答することは片手間ではできないボリューム量がありますが過去最高の回答というから、近年の健康経営の関心度の高さが伺えます。この健康経営度調査票に回答することで、健康経営を実施するにあたって何が重視されるのか、何からどのように取り組めば良いのかがわかります。健康経営度調査は専門家による委員会において策定されているので「健康経営経営について興味を持ったが何から始めれば良いのか」といった課題を持つ企業の手助けとなります。
※健康経営度調査:従業員の健康管理に関する取り組みやその成果を把握するために経済産業省が毎年秋に行っているアンケート調査。上場企業には必ず調査票が配布されています。

健康経営銘柄選ばれるには以下の基準をクリアする必要があります。
  • 健康経営度調査に回答した企業の上位20%に入ること
  • 法令違反の有無や社内の体制づくりなど定められている健康経営の必須項目を全て満たすこと
  • ROE(自己資本利益率)の直近3年間平均が0%以上であること

以上の3つを満たした企業のうち、業種内で最も健康経営度が高い企業が健康経営銘柄として選出されます。

健康経営銘柄に選定されることのメリットは??

経済産業省は過去の健康経営銘柄選定企業から銘柄選定によるその後の反響について調査を実施し反響をまとめています。

投資家等への情報発信

  • 就活生向けの会社案内資料に健康経営銘柄の選定を盛り込んだほか、有価証券報告書、CSR報告書や社内報に記載するなど社内外や投資家に向けて打ち出し
  • 名刺やHP、会社紹介冊子に取り組みを紹介し、取引先等に選定結果をPR
  • 健康経営の取り組みに関する取材が増え、メディア露出の機会が増大。また役員による講演も多数いらいされるようになった。

社内における行動変容

  • 経営トップによる取組強化の指示などが発信され、健康増進計画や社員参加型の健康増進プログラムの拡充を図っている。
  • 銘柄を継続して取っている企業においても新たな取組を実行
  • 健康増進に関する中長期計画策定や健康経営推進組織の設置を行った。
  • 各事業所で取組むアクションや目標を継続して実行できており健康経緯が習慣化した。

社内外の反響

  • 学生の認知度が向上し就活生が大幅に増加したり内定後辞退率が減った入りした優秀な人材の確保につながっている。
  • 取引先やその他の企業から、高く評価してもらえた。取組に関する多数の問い合わせがある。
  • 投資家から「中長期的な成長が見込まれる」と高い評価をもらった。
  • 銘柄を取得した他企業との情報共有を通じ、他業種とのつながりのきっかけとなった。
調査により健康経営銘柄選定により社内外から前向き反響があったとの声が多数あったことがわかります。
健康経営銘柄企業に対しては健康経営を普及拡大していく「アンバサダー(広告塔)」的な役割を求められるとともに、健康経営を通じていかに生産性や企業価値に効果があるかを分析しそれをステークホルダーに積極的に発信していくことを求められています。健康経営銘柄に選ばれることは健康経営の最高位の広告塔としての役割とともに健康経営のメリットをより享受できることになります。
出典元:健康経営の推進について

健康経営銘柄

2.健康経営優良法人(ホワイト500・ブライト500)

健康経営優良法人 健康経営優良法人認定制度も経済産業省が設計した評価制度になります。
大企業から中小企業までを対象に地域の健康課題に即した取り組みや日本健康会議が推進する健康増進への取り組みを基準として優良な健康経営を実施する法人を顕彰する評価制度です。
健康経営優良法人は、「大規模法人部門」と「中小規模法人部門」の2部門で構成されます。そして大規模法人部門の中でも上位500法人は「ホワイト500」、中小規模法人部門の上位500法人を認定する「ブライト500」が創設されました。  

「健康経営銘柄」と「健康経営優良法人」の違いは?

「健康経営銘柄」企業には、東京証券取引所に上場している企業から1業種につき1企業が選出されるのが特徴ですが、「健康経営優良法人」では認定を受けるのに上場企業である必要はなく企業規模に関係なく認定を受けることができます。「健康経営銘柄」企業は社会に健康経営を普及するアンバサダー(広告塔)としての重要な役割が求められています。健康経営が生産性向上やブランディングにどれほど効果があるのかなどを、社会に発信する役割ともいえるでしょう。
一方、「健康経営優良法人」の大企業には、取引先法人や地域の関連企業、従業員の家族、顧客に対しても健康経営を広めるトップランナーであることが求められます。「健康経営優良法人」の中小企業は、地域における健康経営拡大のために、自社の事例を発信する役割を担っています。

3.安全衛生優良企業公表制度

安全衛生優良企業 厚生労働省が認定を行っている制度が「安全衛生優良企業公表制度」です。
安全衛生優良企業とは、労働者の安全や健康を確保するための対策に積極的に取り組み、高い安全衛生水準を維持・改善しているとして、厚生労働省から認定を受けた企業のことです。この認定を受けるためには、過去3年間労働安全衛生関連の重大な法違反がないなどの基本事項に加え、労働者の健康保持増進対策、メンタルヘルス対策、過重労働防止対策、安全管理など、幅広い分野で積極的な取組を行っていることが求められます。
安全衛生優良企業認定のメリットの一つとして、認定を受けた企業は認定マークを利用することができます。健康・安全・働きやすい優良企業であることを求職者に対してPRできたり、優良マークを広報、商品に使用し、取引先や消費者に対してPRでき、企業イメージの向上にもつながります。また、間接的なメリットとして、本制度の認定によって労働安全衛生水準の取組レベルを示すことにより、社員の働く意欲や生産性を向上させることにもつながります。
 また、厚生労働省のホームページでも認定を受けた企業名を公表し、この制度の認知度を高めていくため、広報を続けていきます。

4.DBJ健康経営格付融資

日本政策投資銀行の「DBJ健康経営(ヘルスマネジメント)格付」融資は、経済産業省の調査事業の一環として、専門機関と連携し開発された独自の評価システムをもとに従業員の健康配慮への取り組みに優れた企業を評価・選定しその評価に応じて融資条件を設定するという「健康経営格付」の専門手法を導入した世界でも初めての制度です。融資実行後、評価結果をフィードバックし健康経営促進に向けたサポートも実施しています。

5.健康寿命をのばそう!アワード

厚生労働省は国民全体が人生の最後まで元気に健康で楽しく毎日が遅れることを目標として「健康寿命」の延伸に資する優れた取り組みを表彰する制度「健康寿命をのばそう!アワード」を実施しています。生活習慣病分野・母子保健分野および介護予防・高齢者生活分野の3部門野に関する表彰があり生活習慣病予防分野では「スマート・ライフ・プロジェクト」が掲げる4つのテーマ(適切な運動・適切な食生活・禁煙・検診・検診の受診)について生活習慣病予防の啓発や健康増進のための優れた取り組みを行っている企業・団体・自治体を表彰しています。

6.地域独自の施策

健康経営の関心は全国でも高まりつつあります。各地で健康経営を後押しする取り組みが始まっています。健康経営の取り組みを金融面からサポートする地方銀行やや公共調達での入札加点項目へ組み入れる自治体等、インセンティブを導入する組織も増えています。また認定・表彰制度・独自のコンテンツや施策を展開する自治体も増えています。
(例)青森県: 健康経営認定制度 県入札参加資格申請時の加点・求人票への表示・県特別補償融資制度
  静岡県:ふじのくに健康づくり推進事業所宣言 県によるPR・取り組みに関する相談・支援・知事褒章への推薦案内
全国での健康経営インセンティブ・認定・登録・顕彰制度は東京商工会議所のホームページより確認できます。どんなインセンティブが活用できるか確認するのもいいですね。
東京商工会議所HP:https://www.tokyo-cci.or.jp/kenkokeiei-club/1503/例

まとめ

NEXTSTAGE 健康経営に関するさまざまな評価制度をご理解いただけましたでしょうか??
超高齢社会を迎えて社会として課題が山積する中「長時間労働」や「働き方]が社会問題となったことを背景に、健康経営が注目されるようになりました。
将来的に収益性を高めるために「健康経営」を推進し、従業員の健康保持・増進に取り組むことは
「健康経営銘柄」や「健康経営優良法人」に選定されるためには、自社が抱える健康課題を把握、解決策を準備し、組織全体で「健康経営」に取り組む体制を構築することが大きなポイントになります。
健康経営を「見える化」するためにぜひ評価制度を意識して取り組んでみてはいかがでしょうか??
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