- 健康経営アドバイザー
- 2022.08.17
M&A手数料の相場は?支払う内容や手数料負担を引き下げる方法を解説
- 目次
近年、中小企業でもM&Aが注目されています。その理由は、後継者が見つからず、事業継続が困難だからです。そのため事業継承を目的としたM&Aの利用が増加しています。しかし同時にM&Aに関して、こんな悩みを持っている方も多いでしょう。
「仲介業者のHPを見てもよくわからない」
「仲介手数料って高いイメージ」
「そもそもM&Aって何?」
誰でもわからないものには、不安があるものです。
そこで今回は、M&Aについて手数料について詳しく解説します。
誰でも分かる!そもそもM&Aとはなにか?
簡単に言うと、M&Aは経営権の移動によって、経営者が変わることを指します。つまり会社の株式を売り買いし「経営権」の移動が生じることです。
M&Aが中小企業で注目されている理由
現在、特に中小企業でM&Aが注目されている理由は、後継者問題です。その背景には、中堅中小企業の経営者が、引退年齢を迎えているという背景があります。多くの中小企業の経営者が直面する悩みは「引き継いでくれる後継者がいるかどうか」ではないでしょうか。従来であれば、身内や親族が会社を引き継ぐということが一般的でしたが、家業を継ぐ人が減少しています。また少子高齢化なども問題も絡み合っており、適切な人材がいないという課題も要因の一つです。そこでM&Aを活用する中小企業が増えています。
M&A活用のメリット
- 事業継承問題を解決できる
- M&Aによって業務提携し、働き方改革を実現できる
- 創業者利潤を獲得できる
- 廃業コストを削減できる
参考:経済産業省【中小企業M&Aガイドラン】
さらにM&Aは後継者問題だけでなく、働き方改革の実現も可能にします。例えば、地域密着型で規模が小さく、従業員数も少ない企業では、働き方改革の実現は難しい側面があります。働き方改革をするためには、新たに人を雇わなければなりません。このような小さい企業は、従業員を増やし、多能工を促進するために業務提携(M&A)をすることが有効な方法でしょう。
M&Aの手数料とは?手数料が高い理由はなぜ?
✅M&Aに関するリスクを避けるため
✅たくさんの選択肢の中からベストな相手を探してもらいたい
✅有利な条件で成約するため
✅そもそも中小企業の経営者は多忙であるから
M&Aの手数料が高い理由は人件費
M&Aの手数料が高いというイメージをお持ちの方が多いでしょう。M&Aでは成約までに、専門的な調査を行います。- デューデリジェンス
- 企業価値の算定
- 契約書作成
- 会計
- 法律
- 経営に関する調査
M&Aの手数料は7種類ある【相場もチェック】
M&A手数料は、主に7種類あります。【】の金額は、手数料の参考相場です。仲介会社が独自で報酬体系を設定しているため、相場からかけ離れるケースもありますのでご注意ください。
- 相談料
- 着手金
- 最低手数料
- リテイナーフィー
- 中間報酬
- デューデリジェンス費用
- 成功報酬
1.相談料【0~10,000円】
相談料とは、M&Aの可否などを仲介会社に相談した際に発生する手数料です。「事前相談料」と呼ぶこともあります。 近年では、相談料を完全無料で行う仲介会社も増えています。無料で相談だけ受けるのもひとつの手です。仲介会社との相性確認や情報収集という意味でも積極的に活用することをおすすめします。2.着手金【50~200万円】
正式にM&A仲介会社へ依頼した際に発生する手数料です。注意すべき点は、M&A成約できなかった場合でも返金されません。手数料を無駄にしないためにも、慎重に仲介会社を選ぶ必要があります。3.最低手数料【200~2,000万円】
最低手数料は、仲介会社の利益を確保するための手数料です。特に小規模な仲介を取り扱っている仲介会社では、採算が取れなくなるケースもあります。そのため、採算が取れなくなることを避けるために、最低手数料を設けている仲介会社があります。4.リテイナーフィー【0~200万円/月】
リテイナーフィーは、M&Aの活動費として制約するまで毎月発生する手数料です。リテイナーフィーも返金されることはありません。手数料をできるだけ下げたいのであれば、リテイナーフィー不採用の仲介会社を選ぶことが重要です。5.中間報酬【0~200万円】
中間報酬は、基本合意書が締結時した時点で生じます。基本合意は、売り手・買い手が成約に向けて合意を示す契約です。成功報酬に中間報酬を含む仲介会社が多く、成功報酬の一部を前払いする形になっています。6.デューデリジェンス費用【0~200万円】
デューデリジェンス費用は、買い手が支払う手数料です。買い手が売り手側のリスクを調査する費用となるため、売り手側はデューデリジェンス手数料を支払うことはありません。 デューデリジェンスは、規模が大きいほど調査にかかる労力も必要なため、手数料も増加します。7.成功報酬【500万円~1億円】
成功報酬は、M&Aの最終契約が成立した場合に発生する手数料です。M&A手数料の中で、もっとも高額になる手数料でしょう。成功報酬は、取引価格に一定の料率をかけるレーマン方式で算出するのが一般的です。【大手仲介会社のM&A手数料の体系は3つ】
前述したように、M&A手数料の中で、大部分を占めているのが成功報酬です。一部の仲介会社では、成功報酬のみを請求する会社もあります。 M&A手数料の請求体系は、大きく3つに分かれます。- 着手金+成功報酬型
- 完全成功報酬型(中間金あり)
- 完全成功報酬型(中間金なし)
M&A手数料の成功報酬算定方法【レーマン方式とは】
前述した通り、M&A手数料の中で、もっとも金額が大きいのが成功報酬です。多くの仲介会社では、レーマン方式と呼ぶ計算式を用いて成功報酬を算出します。レーマン方式とは、成果配分方式のことです。売却金額が増えるほど手数料が減少していく特徴があります。
「これが業界の一般的な金額ですよ」と言われたら、「よくわからないけど、一般的と言われたら、きっと成功報酬も同じだろう」と思ってしまいがちです。M&A手数料を理解するには、レーマン方式を理解しておくことが大切です。
レーマン方式の計算方法
レーマン方式による計算方法は【取引金額】×【手数料割合】です。この手数料割合の部分が会社によって異なります。一般的なレーマン方式の報酬率は、下記の通りです。
取引金額×手数料割合(例)
①〔5億円以下の部分〕×〔5%〕
②〔5億円を超え10億円以下の部分〕×〔4%〕
③〔10億円を超え50億円以下の部分〕×〔3%〕
④〔50億円を超え100億円以下の部分〕×〔2%〕
⑤〔100億円以下の部分〕×〔1%〕
売却金額が大きければ、手数料が減少していく特徴があります。レーマン式は、一見複雑そうに見えますが、分解して考えると理解しやすいです。
売却金額が13億円の場合の計算例
上記の手数料割合率を使って、売却金額が13億円と仮定して、計算してみましょう。①まず13億円を分解する
✅〔5億円以下の部分〕➡〔5億円〕
✅〔5億円を超え10億円以下の部分〕➡〔5億円〕
✅〔10億円を超え50億円以下の部分〕➡〔3億円〕
②それぞれの部分を手数料割合率を掛ける
✅〔5億円以下の部分〕➡〔5億円×5%〕
✅〔5億円を超え10億円以下の部分〕➡〔5億円×4%〕
✅〔10億円を超え50億円以下の部分〕➡〔3億円×3%〕
③最後に掛け算の結果を合計する
✅〔5億円以下の部分〕➡〔5億円×5%=25百万円〕
✅〔5億円を超え10億円以下の部分〕➡〔5億円×4%=20百万円〕
✅〔10億円を超え50億円以下の部分〕➡〔3億円×3%=9百万円〕
✅合計54百万円
④合計の54百万円に消費税を上乗せした金額が成功報酬
取引金額には3種類ある【注意!】
取引金額には、3種類あり仲介会社によって違うため、事前に確認することが重要です。タイプによっては金額の大きく変動します。M&Aの相談段階で確認することをおすすめします。- 譲渡金額(買収の価格)
- 移動総資産(時価総資産)
- 企業価値(株式価値)
M&A手数料を格安にするおすすめM&Aマッチングサイト3選
「やはり仲介会社に頼むのは、手数料がネックだな」と思われる方は、M&Aマッチングサイトを利用してはいかがでしょうか。
M&Aマッチングサイトとは、インターネット上でM&Aサービスを行っているサイトのことです。
M&Aマッチングサイトのメリットは次の通りです。
- 売り手側は無料のものが多い
- 手数料が仲介会社と比べて比較的安い
- 案件数が多い
- 地方企業でも売り手を見つけることが可能
おすすめM&Aマッチングサイト3選
TRANBI(トランビ)
TRANBIは、使い勝手や手軽さが魅力の中小企業向けマッチングサイトです。案件登録サポートなどオプション機能も豊富なことから高評価を得ています。参考:TRANBI
【 料金体系】
- 売り手側:無料
- 買い手側:成約価格3%の手数料
- 最低報酬:要問合せ
Batonz(バドンズ)
Batonzは、日本M&Aセンターグループである株式会社バトンズが提供しているサービスです。M&Aの専門家によるサービスを受けることが可能です。さらに全国対応可能なサービスにより地方の企業でも利用することができます。 最短で1週間で成約に至ったなど短期間での成約ケースが多いことが特徴です。参考:BATONZ
【 料金体系】
- 売り手側:無料
- 買い手側:成約価格2%の手数料
- 最低報酬:25万円~
M&Aクラウド 株式会社
M&Aクラウドが運営しているマッチングサイトです。マッチング率80%と高いことが魅力的です。M&Aクラウドを利用することにより、仲介会社を通さずスムーズな取引が実現できます。参考:M&Aクラウド
【 料金体系】
- 売り手側:無料
- 買い手側:要問合せ
- 最低報酬:要問合せ
公的支援サービスを活用してM&A手数負担を減らす方法
事業継承・引継ぎ支援センターの活用
M&Aの公的相談窓口として、事業継承・引継ぎ支援センターがあります。事業継承・引継ぎ支援センターは、中小企業基盤整備機構が全国で展開しているサービスです。公的支援サービスのため、相談や登録、成約にも一切手数料はかかりません。(※場合によっては、弁護士費用が実費で必要なケースもあります)買い手は後継者候補として人材バンクに登録され、全国の金融機関などの取引先へ匿名で提供されます。
ただし認知度が広がっておらず、案件数が少ないのがデメリットです。運よくいい案件に出会える可能性もありますが、M&Aにかける予算が限られている場合やまずは相談だけしたい場合に、利用するにはよいのかもしれません。
事業継承・引継ぎ支援センター【公的相談窓口】
M&A仲介手数料負担を補助【経営資源引継ぎ補助金】
M&Aの対する公的な補助金として「事業継承・引継ぎ補助金」があります。M&Aによる経営資源の引継ぎ・再チャレンジを行おうとする中小企業を応援するために実施しています。経営資源引継ぎ補助金を活用すれば、最大650万円ほど受給できます。上手に活用してM&A手数料を引き下げましょう。 支援内容は2種類です。補助金申請時にどちらかを選択します。
- 経営資源の引継ぎを促すための支援
- 経営資源の引継ぎを実現させるための支援
令和4年度当初予算「事業継承・引継ぎ補助金」の公募要領
M&A手数料は高額!大切なのは価値提供と価格のバランス
今回は、M&A手数料について解説しました。M&Aの手数料は、仲介会社に依頼すると高額になる傾向です。しかし、売買価格が高額であれば、手数料も高額であっても問題はないといえるでしょう。大切なのは、価値提供と価格のバランスが重要です。
M&Aの手数料を少しでも軽減させたいのであれば、マッチングサイトや公的支援サービス・補助金を活用することをおすすめします。
M&Aは、会社と従業員を守る選択肢のひとつです。経営者にとってM&Aに挑戦することは、一大決心でしょう。この記事によって、M&Aの手数料に対する不安を取り除くことにお役に立てれば幸いです。
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