• 健康経営アドバイザー
  • 2022.06.05

健康経営の成果を可視化する6つの方法

健康経営の成果を可視化する
目次

健康経営の可視化について解説

健康経営の成果を可視化

健康経営を推進している企業が増えている中で、こんな課題を抱えている企業のご担当者はいませんか。

「健康経営の取り組みの効果や目的を明確にしたい」
「自社の課題を可視化し、健康経営の取り組みを効果的なものにしたい」

この記事では、下記を解説します。

  • 可視化の必要性
  • 可視化しないとどうなるか
  • 可視化する6つの方法
  • 可視化のよる健康経営の効果分析
「これから健康経営を本格的に取り組みたい」「成果にコミットした健康経営を実践したい」などとお考えの健康経営ご担当者の方は、どうぞ最後までお読みください。

可視化することで意味のない健康経営を防ぐ

意味のない健康経営を防ぐ

「健康経営と言っても具体的になにを取り組めばいいかわからない」という声をよく伺います。もし現状、自社の課題や取り組みがスムーズでなければ、可視化することで解決できます。

可視化の必要性

健康経営を可視化ができれば、効果的にPDCAサイクルを回すことが可能になるでしょう。可視化するメリットは次の通りです。

  • 企業活動の現状や進捗など全体像を把握できる
  • 見える成果(数値化)をつくる
  • 課題が発生しても対応できる環境を実現できる
  • 問題が発生しにくい職場環境改善につながる
  • 小さな成功体験を積み上げ、継続の励みになる

可視化しないとどうなる?

可視化しないと、意味のない取り組みになってしまいます。健康経営の取り組み自体が、ただの健康管理になってしまい継続しない・定着しない罠に陥るでしょう。健康経営をスタートしても成果が実感できなければ、1年、2年と経っていくうちに自然消滅してしまうケースもあります。言ってみれば、目的地のない旅に向かっていくようなものです。

可視化はプロセスとゴールを明確にすることにつながります。健康経営の目的は、自社の経営課題解決のための経営戦略です。健康経営の効果をわかりやすくすることが、取り組みのモチベーションになるでしょう。

社会的評価と健康リスク評価の2種類の可視化を活用

社会的評価

健康経営は、長期間かけて初めて効果が出てくるものです。経営者として、スタートしたばかりだと健康投資に関するインセンティブが生じにくいと感じるでしょう。健康投資に対する可視化という点で、企業のイメージアップや金利優遇制度など、社会的評価で実現可能です。また、健康経営の取り組みのデメリットとして、数値化が難しいということがあります。

しかし方法はあります。健診データと業績・勤怠表を照らし合わせて、分析することが可能です。例えば、労働災害の場合、従業員の休業で「どのくらい損失が出るか」という視点で考えます。健康に関連しても、休業が減少したといったことでも有意義でしょう。健康経営の可視化の具体的な方法は、次の6つです。

【社会的評価による可視化の実現】

①ブランド力を向上させる「健康経営優良法人認定制度」
②金利優遇評価制度「DBJ健康経営格付」
③健康・安全・働きやすさをアピール「安全衛生優良企業評価」

【健康リスク評価による可視化の実現】

④健康のデータ化の第一歩となる「定期健康診断の受診率把握」
⑤事業所カルテ作成可能となる「保険者を活用」
⑥「健康施策に手間をかけられない」そんな時は外部サービスの活用を検討

①ブランド力を向上させる「健康経営優良法人認定制度」

健康経営優良法人認定制度には、次の5つあります。

  • 健康経営銘柄(東京証券取引所上場企業から選定)
  • 健康経営優良法人(大規模法人部門)
  • ホワイト500(大規模法人部門の上位500法人)
  • 健康経営優良法人(中小規模法人部門)
  • ブライト500(中小規模法人の上位500法人)

健康経営に取り組む優良の法人を社会的に評価する制度です。従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に取り組んでいる法人としてアピールすることにつながります。従業員・求職者・金融機関などから、社会的評価を受けやすい環境が整備されます。

大企業と中小企業がそれぞれの構造に合わせた認定基準で評価されるため、中小企業にも取り組みやすい仕組みです。

②金利優遇評価制度「DBJ健康経営格付」

DBJ健康経営格付は、日本政策投資銀行 (DBJ)が用意している世界初の投資メニューです。DBJ健康経営格付けは「どのような健康経営を行っているか」という、財務に直接関係ない企業の姿勢を評価した商品です。取得している企業は、花王株式会社・大王製紙株式会社・カゴメ株式会社など日本を代表する企業が名を連ねています。次のようにランク付けされます。

【特別金利Ⅱ】従業員の健康配慮への取り組みが特に優れていると認められている企業
【特別金利Ⅰ】従業員の健康配慮への取り組みが優れていると認められている企業
【一般金利】従業員の健康配慮への取り組みが十分と認められている企業
【対象外】対象外になった場合は融資を受けられません

③健康・安全・働きやすさをアピール「安全衛生優良企業評価」

安全衛生優良企業は、高い安全衛生水準を維持改善しているとして、厚生労働省から認定を受けた企業のことです。安全や健康を確保するための対策に積極的に取り組み、さらに3年間労働安全衛生関連の重大な法違反がないなど、基本事項があります。

次のような広い分野での積極的な取り組みを行っていることなどが基本事項です。

  • メンタルヘルス対策
  • 過重労働防止対策
  • 労働者の健康保持・増進への対策

  • 安全管理制度の認定によって、労働安全衛生の取り組みレベルを示すことが可能となり、従業員の働く意欲や生産性を向上させることにもつながります。

    ④健康のデータ化の第一歩となる「定期健康診断の受診率把握」

    自社の定期健診受診率を知っていますか?健康経営を実践する上で必須となるのが、定期健康診断受診です。「健康診断は当然、受診しているはず」「従業員自身に任せている」という状況の企業もあります。健康経営を推進する場合、自社の状況を知るために従業員の健診結果から健康状況を知ることが不可欠です。

    残念ながら、健康診断を受けたとしても、受診結果を確認しない企業も多くみられます。経営者もしくは人事総務担当者は、従業員の健康状況がわからず効果的な対策が検討できていないのが実情です。健診結果を活用することが、健康経営を可視化するキーポイントです。

    ⑤事業所カルテ作成可能となる「保険者を活用」

    健康経営の効果をわかりやすく数値化することに、課題を抱えている健康経営担当者も多いでしょう。健康経営担当者は、健康経営の効果を可視化して、経営者にわかりやすく説明する必要性があります。協会けんぽで健診を受けると、健診データをもとに事業所カルテを作成してくれます。

    カルテを活用して、どのような健康対策が必要なのか、具体的な取り組み方をアドバイスしてもらうことも可能です。協会けんぽを活用している中小企業は、活用しない手はないでしょう。

    ⑥「健康施策に手間をかけられない」そんな時は外部サービスの活用を検討

    健康経営がなかなか定着しなかったり、モチベーション維持ができなかったりする課題もあります。その理由は、自社だけで解決しようとしているからです。企業が抱える課題の中には、内部の人間では見えないことが、外部のサービスを活用することで新たな気づきや発見もあります。次の外部サービスを参考にしてはいかがでしょうか。

    【参考外部サービス例】
  • 健康経営アドバイザー
  • 産業医や保健師などの専門家
  • 地域産業保健センター
  • 協会けんぽの特定検診・保健指導
  • 健康管理システムツール
  • 健康経営の実証分析による効果分析【投資効果3~10倍も】

    健康経営の実証分析

    経営者の立場からすると、健康経営の投資効果や有効性が気になるところでしょう。論文調査結果・アンケート・経済産業省の調査データにより、健康経営の可視化による効果分析を紹介します。

    現時点では、短期的に表れやすい効果は、外的効果です。具体的な健康経営の効果実感値調査の結果、次の効果がわかりました。(上場企業1,000社に対してのアンケート調査より)

    【健康経営優良法人認定企業の健康経営担当者が実感する外的効果】

    • 企業のイメージアップ
    • リクルート効果
    さらに、効果の数値化に取り組んでいる企業へのヒアリング調査では、投資額に対して3〜10倍の投資リターンがあることが判明しました。外部効果である評価制度やメディアへの発信によって、少額の投資額であっても大きなリターンを得ていることが明らかになっています。

    経済産業省による調査の分析結果では、健康経営担当者では実感しにくい評価とされた内的効果を示しています。従業員の健康を支援することにより、次のような効果が期待できます。

    • 離職率低下
    • ロイヤリティ
    • 生産性の向上
    実証分析の効果分析により、健康経営を適切に可視化することによって、企業が健康経営に取り組む有効性を示しているでしょう。
    出典元:日本における経営戦略としての健康経営の効果に関する実証分析

    まとめ

    今回は健康経営の成果を可視化できる6つの方法を解説しました。継続的な健康経営の推進には、効果や成果を可視化することがポイントとなるでしょう。そのために、対内外的な評価や数値化を行うことで、自社の課題や成果も見える化できます。

    健康経営は中長期的な取り組みが必要な経営戦略です。可視化することによってモチベーション維持につながり、健康経営の取り組みの原動力となるでしょう。この記事が、みなさまの健康経営推進の手助けとなれば幸いです。

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